北欧随一のエモーショナルなピアノトリオ、Emil Brandqvist Trio 新譜『Layers of Life』

Emil Brandqvist Trio - Layers of Life

エミル・ブランクヴィスト・トリオ 北欧ジャズ最前線の新作

今もっとも“北欧的”で、底知れぬ叙情を感じさせてくれる高い音楽性を誇るピアノトリオといったら、彼らの右に出るものはほかになかなか居ないだろう。
スウェーデン出身のドラマーエミル・ブランクヴィスト(Emil Brandqvist)が率いるピアノトリオ、エミル・ブランクヴィスト・トリオ(Emil Brandqvist Trio)。2013年に弦楽四重奏も加えたファースト・アルバム『Breathe Out』をリリースし、徐々にヨーロッパでの地位を築き上げていった彼らは、2023年の通算6枚目のアルバム『Layers of Life』でもその音楽に宿る見えない力を失わない。

今作ではフィンランド出身のピアニスト、ツォーマス・トゥルネン(Tuomas Turunen)とスウェーデン出身のベーシスト、マックス・ソルンベルグ(Max Thornberg)とのピアノトリオによる演奏を軸に、デビュー作でも共演した弦楽四重奏楽団であるSjöströmska String Quartetのストリングスや、エミル・ブランクヴィストの兄弟でマルチ器楽奏者のマーティン・ブランクヴィスト(Martin Brandqvist)のフルートやクラリネット、さらにはカンテレ奏者マイヤ・カウハネン(Maija Kauhanen)の慎ましくも効果的なサポートを得て彼らの深淵な音楽観をさらに深く先鋭的なものにしている。

(2)「Everflowing」は今作の中でも随一の美しさだ。ピアノの流麗なメロディーが巧みな転調を繰り返し誘導していく様は、イタリアの天才ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ全盛期の作風をも思わせる。

(2)「Everflowing」

表題曲である(9)「Layers of Life」の世界観も素晴らしい。
北欧の伝説的ピアノトリオ、エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)の音楽的DNAを受け継ぐ彼ららしい楽曲で、現代的なリズムと詩的な旋律、ゲストのマイヤ・カウハネンの声や演奏が魔術的な化学反応を呼んでいる。

(9)「Layers of Life」

エミル・ブランクヴィスト(Emil Brandqvist)は1981年、スウェーデン・ヨーテボリに生まれた。
2012年にはスウェーデンの長編映画『Bloody Boys』と『Vägen Hem』の映画音楽を担当。フィンランド出身のピアニスト、ツォーマス・トゥルネンとスウェーデン出身のベーシスト、マックス・ソルンベルグとピアノトリオを結成し、2013年に弦楽四重奏も加えた『Breathe Out』でデビューした。

Emil Brandqvist Trio :
Emil Brandqvist – drums, keyboards, percussion
Tuomas Turunen – piano, keyboards
Max Thornberg – bass

Guests :
Martin Brandqvist – flute, clarinet, bass clarinet
Maija Kauhanen – kantele, voice, harmonium

Sjöströmska String Quartet :
Annie Svedlund – violin
Jenny Jonsson – violin
Märta Eriksson – viola
Lisa Reuter – cello

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