フレデリコ・エリオドロ、多幸感のベッドルーム・ジャズポップ
ブラジル・ミナスジェライス出身のベーシスト/マルチ奏者/SSWフレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)が自身名義の新作EP『Máximos Eventos』をリリースした。ベッドルーム・ポップの繊細さと、高度なジャズの要素がミナス特有の浮遊感に見事に融合した、短いながらも幸福感に溢れた美しい音楽に浸ることができる。
(1)「Máximos Eventos」から、もう素晴らしすぎる。すべての楽器や歌をフレデリコが自身で収録したものだが、彼らしい複雑さがドリーミーなサウンドにさりげなく溶け込み、オリジナリティを醸し出す。わずかな不協和音さえも薬物のように効果的に機能し、癖になりそうな夢見心地。
(2)「Our Love Affairs」など数曲でドラマーのジェレミー・ガスティン(Jeremy Gustin)をフィーチュア。さらにこの曲でのみ、ピアニストのジョン・エスクリート(John Escreet)がゲスト参加しさりげなくも見事な即興を披露している。
インストの(3)「Post Breakup Scottish Farm Dreams」は、初めてソロ・ギタリストとしてのフレデリコ・エリオドロをたっぷりと堪能できる曲だ。即興に重点を置いており、この録音はある朝の1テイクで完成したという。
Frederico Heliodoro 略歴
フレデリコ・エリオドロは1987年ブラジル・ミナスジェライス州生まれのベーシスト/作曲家/シンガー。父親は人気グループ、ハノイ・ハノイ(Hanoi-Hanoi)創立者のひとりとして知られるミナス屈指のSSW/ギタリストのアフォンシーニョ(Affonsinho, 本名:Affonso Heliodoro, 1960 – )。
ブラジルらしさをジャズや現代音楽と融合する表現を追求する“ミナス新世代”の中心的な存在として知られ、アントニオ・ロウレイロやダニ・グルジェルといったミナスやサンパウロの最前線のミュージシャンらと一大音楽シーンを形成してきた。
様々なアーティストのスタジオ録音やライヴにベーシストとして参加する一方で、自身のリーダー作である『Dois Mundos』(2012年)や『Acordar』(2015年)などではベースだけでなく作詞作曲、ヴォーカルやキーボードなど音楽家として多彩な才能を披露。
2017年には米国出身の世界的ギタリスト、カート・ローゼンウィンケルの呼びかけに応じバンドに参加、アルバム『Caipi』によって活動の幅を拡張した。
Jeremy Gustin – drums (2, 3, 4, 6)
John Escreet – piano (2)
Obed Calvaire – drums (5)
Frederico Heliodoro – all the rest.