究極的“正統派”クレオール・ジャズ。ピアノ奏者ジョルジュ・グランヴィル 1st『Perspectives』

Georges Granville - Perspectives

マルティニーク・ルーツの正統派ピアニスト、ジョルジュ・グランヴィル

マルティニークにルーツを持つフランス人ピアニスト/作曲家ジョルジュ・グランヴィル(Georges Granville)ミシェル・アリーボ(Michel Alibo, b)とアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen, ds)という名手と組んだアコースティック・ピアノトリオ作品『Perspectives』は、フランスらしい抒情性と、3人の故郷であるマルティニークやグアドループの伝統的な音楽のエッセンスが融合した優れたジャズ・アルバムだ。

アルバムはレノン&マッカートニーのカヴァー(6)「And I Love Her」を除き、すべてジョルジュ・グランヴィルのオリジナル。楽曲と演奏は終始メロディアスで、美しいハーモニーと力強いリズムに支えられている。

(2)「Bahia」

彼自身はキース・ジャレットやチック・コリアのアコースティック・ピアノトリオに強く影響されたというが、確かに今作中の楽曲にはそうした影響を瞬間が何度も訪れる。(5)「Zwel」や(8)「Sèt aw」などかなりチック・コリアの感性に近いコンポージングだし、キース・ジャレットやビル・エヴァンス的な繊細さも随所に感じさせるのだ。それでいて、ヴォイスも入った(4)(11)「Yéla」や(9)「Sé bèl pa」はマルティニーク/グアドループの文化に影響を受けたクレオール・ジャズの色が濃く、彼の強い個性を裏づけている。

Georges Granville 略歴

ジョルジュ・グランヴィルは1973年にマルティニーク人の両親のもと、フランス東部の都市ベルフォールに生まれた。彼は15歳のとき、ロンドンへの旅行中にピアノに出会い、すぐにその楽器の虜になったという。1年後に最初のアップライトピアノを手に入れた彼はすぐに音楽とピアノへの情熱的な探求を開始した。

クラシックの初歩を学び、その後もパリで観光業を学びながら独学でプレイを続けた彼は1990年代に成功を収めたバンド「テオレム(Théorem)」に同行しマルティニークの音楽シーンにデビューした。

1997年にスキルを向上させるためにパリに戻りビル・エヴァンス・ピアノ・アカデミーに入学し、ハーモニーやジャズの即興演奏のトレーニングを積んだ。その後は主にフランスのバラエティ豊かなアーティストたちと共演を重ねてゆき、2020年頃から満を持して自身のファースト・アルバム『Perspectives』(本作)の制作を開始した。

Georges Granville – piano
Michel Alibo – contrabass
Arnaud Dolmen – drums

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