ブラジル史上最高のギタリスト、ガロートの優美なワルツを現代に伝える傑作。『Valsas de Garoto』

André Siqueira & Toninho Ferragutti - Valsas de Garoto

アンドレ・シケイラ&トニーニョ・フェハグッチによるガロートのワルツ曲集

ブラジルの名手、ギタリストのアンドレ・シケイラ(André Siqueira)とアコーディオン奏者のトニーニョ・フェハグッチ(Toninho Ferragutti)が、ガロート(Garoto)が遺したワルツ曲集『Valsas de Garoto』をリリースした。

ブラジル史上もっとも偉大なギタリストのひとりと称えられるガロート、本名アニバル・アウグスト・サルディーニャ(Aníbal Augusto Sardinha, 1915 – 1955)はブラジル国外ではその功績に見合った知名度を得てはいない。ギターのみならず多くの弦楽器をマスターし、同時に優れた作曲家でもあった彼はカルロス・リラ、ジョアン・ジルベルト、ハファエル・ハベーロ、ヂノ・セッチ・コルダス、バーデン・パウエルといった音楽家たちに絶大な影響を与えた。

ガロートが遺した曲としては「Lamentos do Morro」や「Gente Humilde(素朴な人々)」が比較的知られているが、今作はガロートのワルツに焦点を当てている。このアイディアはアンドレ・シケイラがガロートのスコアを収録した書籍『Choros de Garoto』に触れたことが発端となった。書籍に収められた67 曲のスコアのうち、そこにはちょうど10曲のワルツがあった。これらのオリジナルに新たな視点を与え、作曲家の功績に光を当てることを目的として、彼はアコーディオンの名手であるトニーニョ・フェハグッチを誘いガロートのワルツの再解釈を記録に残したのが本作である。

(2)「Dias felizes」

その洗練された楽曲、そしてアレンジと演奏は驚くばかりだ。クラシカルな優美さと、フランスのミュゼットにも通じる静かに踊りたくなるような抒情性、ショーロの即興に潜む独特のサウダーヂ。どれをとっても一級品で、熱心にブラジル音楽を聴き続けている私自身も知らない曲ばかりだったがすぐにガロートのワルツの虜になってしまった。さらに言うなら、アンドレ・シケイラとトニーニョ・フェハグッチの卓越した演奏力がガロートのワルツの魅力を増幅させていることは間違いない。

今作は多くがデュオの演奏だが、彼ら同様にガロートに惹かれる重要な音楽家が3人、ゲストで参加している。(3)「A cruz de ouro」にギタリストのパウロ・ベリナッチ(Paulo Bellinati)、(5)「Dugenir」にクラリネットのアレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)、そして(9)「Luar de areal」にはヴァイオリンのヒカルド・ヘルス(Ricardo Herz)。いずれもブラジル音楽史に名を刻む名奏者だ。

André Siqueira – guitar
Toninho Ferragutti – accordion

Guests :
Paulo Bellinati – guitar
Alexandre Ribeiro – clarinet
Ricardo Herz – violin

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