現代の歌姫マイラ・アンドラーデ、ロンドンのユニオン・チャペルでのライヴ盤リリース

Mayra Andrade - reEncanto

カーボベルデのディーヴァ、マイラ・アンドラーデのライヴ盤

カーボベルデ出身のSSW、マイラ・アンドラーデ(Mayra Andrade)の5年ぶりのアルバム『reEncanto (Live at Union Chapel)』は、自身2枚目となるライヴ盤となった。歴史ある教会でありながら、優れた音響のライヴ・コンサート会場としても有名なロンドンのユニオン・チャペルで2023年11月に行われた演奏を記録したもので、伴奏者はギターのジョジェ・アルメイダ(Djodje Almeida)のみという編成で極上のクレオール・ポップのひとときを味わえる。

全18曲、77分間。デビュー作『Navega』(2006年)からスタジオ・アルバムとしては最新の『Manga』(2019年)まで幅広く選曲されている。イダン・ライヒェル(Idan Raichel)との共作(6)「ODJUS FITCHÁDU」やパトリス・ラローズ(Patrice Larose)との共作(7)「NAVEGA」など数曲を除きほとんどがマイラ・アンドラーデの作詞作曲で、最小限の編成で限りなく魅力的な歌を表現するさまは流石現代のディーヴァだ。

“reEncanto”ツアーのミニ・ドキュメンタリー映像。
(今作のユニオン・チャペルでの映像は含まれていない)

歌詞はカーボベルデ・クレオール語、ポルトガル語、そして英語で歌われる。カーボベルデ音楽に特有のソダーデ(サウダーヂ≒郷愁)を感じさせる叙情は素晴らしく、このツアー期間中に妊娠というライフステージの大きな変化を体験していた彼女の繊細な感情が、豊かな音楽に乗せて親密さを伴って吐露される。

Mayra Andrade 略歴

マイラ・アンドラーデはカーボベルデ人の両親のもと、1985年にキューバのハバナで生まれ、生後数日でカーボベルデに戻り幼少期をサンティアゴ島で過ごした。父親はカーボベルデ政府の外交官だったため、幼少期からセネガル、アンゴラ、ドイツなどに移り住んだが、年に少なくとも2ヶ月間はカーボベルデに戻っていたという。彼女自身は17歳のときに2002年にフランス・パリに移り、2015年後半にポルトガルのリスボンに移住した。

彼女が記憶しているなかで一番最初に影響を受けたのはブラジルの音楽家カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)の「O Leãozinho」だった。作詞作曲など10代の頃から音楽活動を開始。16歳のときに2001 年のジュ・ド・ラ・フランコフォニー(Jeux de la Francophonie)作詞コンテストで優勝した。

2007年にデビュー作『Navega』でドイツレコード批評家賞を、 2009年には2ndアルバム『Stória, Stória…』でドイツレコード批評家賞を受賞した。また、2008年にはBBCラジオ3ワールドミュージックアワードで新人賞を受賞した。

Mayra Andrade – vocals, txabeta, shaker, baje
Djodje Almeida – acoustic guitar , backing vocals

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