ポルトの新世代ヴィブラフォン奏者 3rd『Not far from paradise』
ポルトガルの新世代ジャズ・ヴィブラフォン奏者エドゥアルド・カルヂーニョ(Eduardo Cardinho)の3枚目のアルバム『Not far from paradise』は、ジャズ、現代音楽、クラシックといった要素が高次元で融合した知性的な作品だ。
バルセロナの名門レーベル Fresh Sound からリリースされた本作は、収録の8曲すべてがエドゥアルド・カルヂーニョのオリジナル。7人編成のバンドは同世代のトップランナーたちで構成され、アルトサックス奏者のジョアン・モルタグア(João Mortágua)、ブラジル出身の”ミナス新世代”フレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)、デジタル・アコーディオンを弾くジョアン・バラーダス(João Barradas)ら、特別な才能が集結。高度な即興のロジックの上に成り立つ自由な実験的精神性が発揮された演奏が繰り広げられる。
ヴィブラフォンという楽器は、音域の広さは3オクターブ程度と一般的なものの、幻想的な音色による高域を中心とした煌びやかなメロディーラインや、中低域で奏でられる浮遊感のある和音が魅力的だ。幼い頃よりそうしたヴィブラフォンの特性を研究し続けてきたエドゥアルド・カルヂーニョの音は非常に洗練されており、手練れたちのバックアップも得て自在に躍動している。
Eduardo Cardinho 略歴
エドゥアルド・カルヂーニョは1993年ポルトガル生まれ。幼少期からクラシックの打楽器に触れ、ポルトの音楽学校とオランダ・アムステルダム音楽院で高度なジャズ・ヴィブラフォンを学んだ。ジャズや即興音楽、クラシック音楽、ポップスとエレクトロニック音楽など幅広いスタイルで同世代でも個性的なヴィブラフォン奏者として知られており、クインテットを率いて録音した最初のアルバム『Black Hole』(2016年)は、ポルトガルのジャズ媒体Jazz.ptとJazz Logicalによって2016年のベスト・ナショナル・アルバムのひとつとして高く評価された。
Eduardo Cardinho – vibraphone, synthesyzer
João Mortágua – alto saxophone
José Diogo Martins – Rhodes, synthesyzer
Frederico Heliodoro – bass, guitar
Diogo Alexandre – drums
Iúri Oliveira – percussion
João Barradas – synthesyzer, accordion