アフリカン・ディアスポラの絆を示すKokoroko新譜『Tuff Times Never Last』│Musica Terra

アフリカン・ディアスポラの絆を示すKokoroko新譜『Tuff Times Never Last』

Kokoroko - Tuff Times Never Last

現代UKジャズを代表するグループ、Kokoroko 2ndアルバム

トランペット奏者のシーラ・モーリスグレイ(Sheila Maurice-Grey)と打楽器奏者のオノメ・エッジワース(Onome Edgeworth)が率いるロンドンの現代ジャズシーンを代表するグループのひとつであるココロコ(Kokoroko)が、前作『Could We Be More』(2022年)以来となる2ndアルバム『Tuff Times Never Last』をリリースした。彼らの特徴であるアフロビートとジャズの融合を基盤にしつつ、80年代の英国R&B、ネオソウル、アフリカン・ディスコ、ボサノヴァ、ラヴァーズロック、ファンクといった多様なジャンルを取り込み、前作と比してより都会的で洗練されたサウンドにシフト。穏やかでリラックスしたグルーヴが全編に流れる作品となっている。

リードシングルである(2)「Sweetie」はアルバムの方向性を象徴する曲で、アフリカン・ディスコに敬意を表しつつ、ホーン主導のファンキーなリズムと実験的なシンセサウンドが融合。恋人同士の遊び心ある絆をテーマにしたミドルテンポの楽曲。

(2)「Sweetie」

アフリカン・ディアスポラの若者を音楽でつなぐことを目指して結成された彼らの使命が、本作でも顕著に現れている。フェラ・クティ(Fela Kuti)やトニー・アレン(Tony Allen)といったアフロビートの巨匠たちの遺産から、英国で脈々と受け継がれてきたソウルやファンクまでを融合したこのアルバムは、黒人コミュニティのレジリエンスや絆を讃え、英国でのそうした物語が少ない中での文化的発信を意識している。

アルバムのタイトルは、コロナ禍のSNSでバイラルしたミーム「Tough times never last, only tough people last」(厳しい時代は永遠に続かない、強い人だけが残る)から着想を得ている。共同リーダーであるオノメ・エッジワースは、困難な時代の確かな希望を的確に表したこのフレーズを採用し、「tough」をスラングである「tuff」に置き換えて現代性を加え、希望とレジリエンスをテーマに、黒人コミュニティの絆を讃えるアルバムのテーマとした。

ジャケットのアートワークは、アフリカン・ディアスポラのコミュニティを主要なテーマとし、徹底したリサーチに基づくイラストで知られるルーシー・ピナ(Luci Pina)によるもので、ロンドンの夏、家族、黒人文化とそのコミュニティをテーマに、スパイク・リー(Spike Lee)監督の半自伝的映画『Crooklyn』(1994年)やリック・ファムイーワ(Rick Famuyiwa)監督の映画『The Wood』(1999年)からもインスパイアされて描かれた。“希望に満ちていたロンドンの真夏の夜、みんなが家族のように一体となって感じられた、無邪気さとノスタルジアの感情”を表しているという。

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