スコットランドの正統派ジャズシンガー、ルイーズ・ドッズが全曲オリジナルで贈る新譜

Louise Dodds - All I Know

スコットランドのジャズ歌手ルイーズ・ドッズ新作『All I Know』

スコットランド出身のシンガー/作曲家ルイーズ・ドッズ(Louise Dodds)の新作『All I Know』
アヴィシャイ・コーエン・トリオに参加したことで世界的に知られるアゼルバイジャン出身ピアニストのエルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)とのデュオで発表した前作『Two Hours After Midnight』はスコットランドの美しい歌曲集だったが、今作は全曲を彼女のオリジナルでまとめ上げ、ジャズ・ヴォーカリストとしてオリジナリティを追求した作品となっている。

(1)「As Standard」

今作はルイーズ・ドッズ自身が全曲の作詞作曲を担当し、自身の経験や周囲の人々のエピソードを基にしたオリジナル曲で構成されている。テーマは愛、喪失、友情など個人的で感情豊かなものが中心で、ジャズ、ポップ、フォーク、ソウルといった要素が融合したアレンジが施されている。

バックを固めるのは前作に引き続きピアノのエルチン・シリノフ(楽曲のアレンジも担当)と、ロンドンを拠点とするベーシストのマックス・ルサート(Max Luthert)、ストラウドを拠点とするドラマーのデイヴ・ハンブレット(Dave Hamblett)のピアノトリオ。演奏はヴォーカルに寄り添うようで、エルチン・シリノフが随所でソロを披露してはいるものの、ムガーム・ジャズという彼のルーツや特性はほぼ完全に封印され没個性的なものとなっていることには物足りなさも感じてしまうが、全体的には温かな手触り感覚のある上質なジャズ作品となっている。

(10)「Wiser」

スコットランド生まれの歌手、Louise Dodds 略歴

スコットランドに生まれ育ったルイーズ・ドッズは幼い頃に両親がかけていたエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)やフランク・シナトラ(Frank Sinatra)や、アニタ・オデイ(Anita O’Day)、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)まで幅広い影響を受けている。

2022年3月には『Fly』(2013年)以来となる9年ぶりのアルバム『The Story Needs an Ending』をリリースし、同年のスコティッシュ・ジャズ・アワードでヴォーカル賞にノミネートされた。また、2023年には国際的に知られるピアニスト、エルチン・シリノフとのデュオによるスコットランド歌曲集 『Two Hours After Midnight』をリリースし、こちらも同賞にノミネートされている。

Louise Dodds – vocals
Elchin Shirinov – piano
Max Luthert – double bass
Dave Hamblett – drums

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