歌うヨガ実践者Manizeh、静かに心を浄化させる素晴らしいデビューアルバム。ガナーヴィヤ参加

Manizeh - Mahku

ガナーヴィヤ共同プロデュース、ヨガ実践者マニーゼのデビュー作

パキスタンに生まれ、ヨーロッパやアメリカに住んだあとロンドンでヨガインストラクターとして活動するマニーゼ(Manizeh)のデビューアルバム『Mahku』が素晴らしい。共同プロデューサー/ゲストシンガーとして、オバマ元大統領が「2025年のお気に入り」にも挙げたガナーヴィヤ(Ganavya)が全面的に参加。マニーゼ自身が弾くハルモニウムと歌を中心に、ハープやダブルベース、ピアノなどの楽器で優しく彩られた楽曲群は深く感動的で、ヨガの実践者であり指導者である彼女の哲学と精神を余すところなく反映している。聴けば聴くほどその世界に没入し、心が浄化される感覚にさせられる──。

アルバムタイトルの「Mahku(日食)」は、マニーゼの祖母と娘の名でもあり、祖先から子孫へと続く連続性を象徴。アルバムには全8曲のマントラ詠唱が収められており、これらは長年キルタン1(Kirtan, 奉納歌)を実践してきたマニーゼと、今作の共同プロデューサーであるガナーヴィヤの創造性の強い絆によって生み出された。

(1)「Ashem Vohu」

この作品は、マニーゼが2022年に古来からの伝統的な実践を現代の生活に取り入れることを目的としてロンドンで創立した、ヨガとスピリチュアル・プラクティスのコミュニティ組織「Love Supreme Projects」の活動のひとつの成果だ。彼女はこう語る:

心を閉ざさず守ることがますます難しくなっているこの世界で、心を解き放つ実践コミュニティは、これまで以上に必要不可欠だと感じています。これらの実践が提供する哲学と技術は、知性を刺激し、身体を動かし、心を開くものであり、人生の浮き沈みを乗り越えるための無敵のツールです。世界を支えるのは、開かれた心なのです。 

lovesupremeprojects.com

マニーゼやガナーヴィヤの声が中心的な役割を担うが、それを支えるミュージシャン陣も彼女らの精神性を深く理解・共鳴した素晴らしい演奏で支えている。ロンドンのジャズの重鎮であるダブルベース奏者ベン・ヘイゾルトン(Ben Hazleton)、ガナーヴィヤのコラボレーターであるハープ奏者ミリアム・アデフリス(Miriam Adefris)、ニューヨークのダブルベース奏者ダグ・ウェイス(Doug Weiss)、ロンドンで注目される新進気鋭のピアニスト、ジェイ・ヴァーマ(Jay Verma)といった面々による静かだが卓越した演奏も特筆に値する。いくつかの曲では、マニーゼの10代の娘であるマークー・ライマー(Mahku Rimer)が歌やギターで参加しており、家族の絆を象徴する。

(6)「Gate Gate Paragate」

この音楽はある種の超越的な魔法のようなもので、人によっては心の支えにもなるだろう。

Manizeh 略歴

マニーゼ(Manizeh Rimer)はロンドンで活動するシンガー/ヨガインストラクター。Love Supreme Projectsの共同創設者として、ヨガ、瞑想、マントラ、音楽を融合させたワークショップやイベントを主宰している。

彼女はパキスタンのカラチで生まれ、幼少時に家族とともにスイス・ジュネーブに移り、アメリカ合衆国の大学に通い、サンフランシスコのテクノロジー投資銀行家やスタートアップ企業で長年働いた後、イギリスのロンドンに定住した。

キルタンのシンガーとしても活躍し、2025年にデビューアルバム『Mahku』をリリース。LEITERレーベルから発表され、スピリチュアル・ジャズや古代のチャントを基調とした作品で、家族の絆や文化遺産をテーマに、ヨガの教えと連動した癒しや内省を促す。

Manizeh Rimer – voice, harmonium
Ganavya – voice
Jai Uttal – voice, banjo, guitar
Mahku Rimer – voice, guitar
Ben Hazleton – double bass
Felix Grimm – voice
Jay Verma – piano
Miriam Adefris – harp
Hiromu Seifert – percussion
Doug Weiss – double bass

  1. キルタン(Kirtan, Kīrtana)…インド発祥の「歌うヨガ」や「歌う瞑想」とも呼ばれ、神聖な言葉(マントラ)を音楽に合わせて繰り返し歌うことで心を浄化し、神への献身(バクティヨガ)を深める実践のこと。 ↩︎

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