Julian Lage – Scenes From Above
米国のギタリスト、ジュリアン・ラージ(Julian Lage)の新作『Scenes From Above』は、彼が2024年末から取り組んでいる“ライティング・スプリント(writing sprint)”の素晴らしい成果だ。短時間──なんと、20分に1曲を書くというルールだった──で集中的に多くの曲を書いた彼は、レコーディングの候補曲を50曲ほどに絞り、プロデューサーのジョー・ヘンリー(Joe Henry)に共有して今回のバンドが強調すべきことは何か、そこに色彩と動きをどう加えられるかについて綿密に打ち合わせたうえでレコーディングを敢行した。
集まったメンバーは“ジャムバンド”ブームの貢献者/オルガン奏者のジョン・メデスキ(John Medeski)、ペルー出身でワールドワイドな活躍をするベーシストのホルヘ・ローダー(Jorge Roeder)、そしてジャズやアメリカーナの分野で確固たる地位を築くドラマーのケニー・ウォルセン(Kenny Wollesen)。
4人はスタジオに入り、ジュリアンの曲を即興によってアジャイルに発展させ、最終的に9曲をアルバムに収録。結果はリラックスした雰囲気で、各々の派手なソロよりも互いに心の通じ合った熟練かつ極上のジャズ・セッションとして仕上がっている。
ジョン・メデスキのオルガンは(3)「Talking Drum」でのクレイジーなソロなど、ときに支配的だが全体のバランスを崩すほどではなく、攻撃的で印象的なアクセントとして機能している。逆にジュリアン・ラージのギターは全体的に思慮深く、フレーズの隅々まで考え抜かれた熟練的な表現で、即興における瞬時の思考と判断、表出の速さと深さは驚異的だ。
ブルースやブルーグラスなどアメリカの音楽に基づきつつ、(8)「Storyville」ではフリージャズ的な展開も現れたりと聴きやすくも飽きさせない。多くの曲が4分程度の演奏時間でジャズとしてはコンパクトにまとまっており、その中で様々なストーリーが凝縮されている。
Julian Lage – electric guitar, acoustic guitar
Jorge Roeder – double bass
Kenny Wollesen – drums
John Medeski – organ, piano