マルセラ・アローヨ&キケ・シネシ『Reflejos』
アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれのタンゴ歌手マルセラ・アローヨ(Marcela Arroyo)と、同じくブエノスアイレスの世界的ギタリスト、キケ・シネシ(Quique Sinesi)による双頭名義の新作『Reflejos』がリリースされた。今作はアルゼンチン・タンゴを現代的に解釈する試みで、光と影、喜びと悲しみをテーマにした詩的な内容。
タンゴという音楽には、一般に重厚でダークなイメージがつきまとう。これまでもタンゴの“軽やかな側面”を幾度も発信してきたマルセラ・アローヨは、今作でもタンゴの明るく軽やかな側面に焦点をあて、アルゼンチンのほかの伝統音楽やジャズの要素も交えながら“新しい時代のタンゴ”を模索してゆく。
そのパートナーとしてキケ・シネシを選んだのは大正解だっただろう。クラシック・ギターの名曲として人気の「Cielo Abierto(澄み切った空)」などで知られるこの南米の名手のギターは“暗さ”とは対極にある。今作は、そんなキケの普遍的なメロディーに、マルセラ・アローヨが詩をつけたものが選曲の軸となっている。
アルバムはキケ・シネシの代表曲のひとつとして知られる(1)「Danza Sin Fin」で幕を開ける。人生を終わりのないダンスとして描くこの美しい曲での歌とギターは、まさしく洗練の極みだ。
(3)「Reflejos Nocturnos」や(8)「Latir」など、いくつかの曲ではドイツのトランペット奏者、マルクス・シュトックハウゼン(Markus Stockhausen)がゲスト参加している。極めて複雑に織り込まれた音楽だけが成し得る、究極のアンビエント。
(6)「Si Llega a Ser Tucumana」はメルセデス・ソーサ(Mercedes Sosa, 1935 – 2009)の歌唱でも有名なアルゼンチン・フォルクローレのカヴァーだ。感傷的になりがちな曲だが、キケ・シネシの乾いたギターと、マルクス・シュトックハウゼンのジャジーなトランペットはこの曲に新たな息吹を与えている。
Marcela Arroyo – vocal
Quique Sinesi – guitar
Guest :
Markus Stockhausen – trumpet