デンマーク発のアナトリアン・ロックバンド、AySay 3rdアルバム
サズ/ヴォーカルのフロントウーマン、ルナ・エルシャヒン(Luna Ersahin)のルーツであるトルコ/クルドの音楽と、北欧デンマークのロックが融合した音楽性が高く評価され、前作『KÖY』(2023年)がデンマーク・ミュージック・アワード(DMA)のワールド・ミュージック部門を受賞するなど人気が高まっているスリーピース・バンド、アイセイ(AySay)が、サードアルバムとなる『Mal』をリリースした。
アルバムは“故郷への帰還”をテーマに、伝統的なアナトリアン・ロックに根差したトランシーでエッジの効いた独特のサウンドで耳を惹く。今作でも中心となるのはデンマーク人の母親とクルド系トルコ人の父親を持つルナ・エルシャヒンだ。歌詞もトルコ語にクルド語、そして少しのデンマーク語で歌われており、彼女が弾くサズ1が奏でるマカーム音階に基づいた微分音の多用が強く印象に残る。
「このアルバムに収録されている曲は、ここ数年の私の経験、つまり、今世界で起きている狂気の中で、自分なりの安らぎの場所を見つけることについて歌っています」
アルバムのタイトルである「Mal」は、クルド語で“家”や“故郷”を意味するという。
ルナ・エルシャヒンは語る:
「これは絶望と希望の間の相互作用についての物語です。マララ・ユスフザイやジナ・マハサ・アミニといった現代の英雄たちから学び、彼女たちを認識することについての物語です。そして、女性を愛する女性であることについての物語です。」
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「クルド人であること、そしてたとえ言語を学んだことがなくても、それが何を意味するのかを学ぶことについて。混血であることについて。脚の毛を見せただけで多くの人に通報され、ソーシャルメディアのアカウントが閉鎖されたことについて。失恋について。そして、これらすべてを通して、世界に静かに現れることが、いかに最も過激なことになり得るかということ。」
「静かに、私は信じています。誰もが家を持つ権利があると信じています。」
ルナ・エルシャヒンの皮肉めいた歌は、(4)「Den om en mand (Haline Bak)」でひとつの頂点を迎える。
この曲は“男についての歌(自分を見つめて)”という意味のタイトルで、世界を約束するものの、いざという時に去ってしまう男という存在について、デンマーク語の詩とトルコ語のコーラスを組み合わせている。
残念ながら、こうしたことは実際に経験しなければ学べないものなのだ。
AySay :
Luna Ersahin – vocals, saz, percussion
Carl West Hosbond – electric guitar
Aske Døssing Bendixen – drums, percussion
- サズ(saz)…ペルシャ・アゼルバイジャン・トルコ・バルカン半島諸国で一般的な、長いネックを持つリュート属の撥弦楽器。 ↩︎