- 2024-08-23
- 2024-08-23
夢見心地のベッドルーム・ジャズポップ。フレデリコ・エリオドロ新譜『Máximos Eventos』
ブラジル・ミナスジェライス出身のベーシスト/マルチ奏者/SSWフレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)が自身名義の新作EP『Máximos Eventos』をリリースした。ベッドルーム・ポップの繊細さと、高度なジャズの要素がミナス特有の浮遊感に見事に融合した、短いながらも幸福感に溢れた美しい音楽に浸ることができる。
ブラジル・ミナスジェライス出身のベーシスト/マルチ奏者/SSWフレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)が自身名義の新作EP『Máximos Eventos』をリリースした。ベッドルーム・ポップの繊細さと、高度なジャズの要素がミナス特有の浮遊感に見事に融合した、短いながらも幸福感に溢れた美しい音楽に浸ることができる。
鍵盤奏者ガブリエル・ノーブレガ(Gabriel Nóbrega)率いるブラジルのバンド、シリブリーナ(Silibrina)の3枚目のアルバム『Sonambulando』。ブラジル北東部音楽のレジェンドであるアントニオ・ノーブレガ(Antonio Nóbrega)を父に持ち、優れたアニメーターとしても知られるガブリエルが作編曲をした計8曲は、ジャズ、ファンク、フュージョン、プログレ、メタル、フォホー、フレーヴォ、マラカトゥと豊かな影響が独自の音楽性に凝縮された好盤だ。
ブラジルの天才音楽家ニルジ・カルヴァーリョ(Nilze Carvalho)。芸歴45年を迎えた彼女が久々の新譜『Nos Combates da Vida』をリリースした。ほとんどの曲でヴォーカルとカヴァキーニョを弾き、生粋のサンビスタとしての強かな生き様を静かに見せてくれる素晴らしい作品に仕上がっている。呼吸をするように楽器を弾き、声だけでなく体中で音楽を表現する。その姿はあまりに自然で、まるで体の中から音楽が溢れ出しているかのように思える。
ブラジルのギタリスト/歌手バジ・アサド(Badi Assad)の新譜『Olho de Peixe』は、まさかのあの名盤の再解釈だった。タイトルを見てピンと来る人も多いだろう。オーリョ・ヂ・ペイシ(魚眼)。レシーフェ出身のSSWレニーニ(Lenine, 1959 - )が、斬新なパンデイロ奏法を含む様々な打楽器を操る魔術師のようなマルコス・スザーノ(Marcos Suzano, 1963 - )とともに録音した1993年の同名のアルバム『Olho de Peixe』は、地球の裏側日本のファンにも激烈な衝撃を与えたように、バジ・アサドや今作で共演するオーケストラのディレクターであるカルリーニョス・アントゥネス(Carlinhos Antunes)にとっても音楽家人生を左右するほどの作品だったようだ。
イタリアを代表するジャズ・レーベルであるEGEAより、ブラジル出身でイタリアを拠点に活動するシンガー、ホジェリオ・タヴァレス(Rogerio Tavares)の新譜『Assentamento』がリリースされた。本作はブラジルを代表する音楽家であるシコ・ブアルキ(Chico Buarque, 1944 - )の楽曲のカヴァー集となっており、ブラジルが誇る珠玉のメロディーと、イタリアが誇る室内楽ジャズの幸せな融合だ。
ブラジル・サンパウロ出身で、サンパウロとフランス・パリの二拠点で活動するシンガーソングライター、ナンナ・ミラーノ(Nanná Millano)の極上のデビューアルバム『Can't Translate Saudade』。ボサノヴァ、ジャズ、MPB、フレンチポップなどがほのかに香る非常に完成度の高いサウンドで、新世代の歌姫の登場を強く印象づける。
ブラジリア出身で現在はサンパウロを拠点に活動するシンガーソングライター、パウロ・オハナ(Paulo Ohana)の4枚目のアルバム『Língua na Orelha』。2本のギターを中心に、フェルナンド・サガワ(Fernando Sagawa)によるジャジーなサックスがアクセントとなったバンドサウンドに自然体のヴォーカル、爽やかで馴染みやすいメロディーラインが特徴的な親しみやすいアルバムだ。
1994年に結成され、以来ジャンルを問わず“ブラジルの音”を表現し続けるギター・カルテット、クアルテート・マオガニ(Quarteto Maogani)。30周年の節目となる新作『Maogani Autoral』は、誰もが知る有名曲などはなく分かりやすさや派手さはないものの、真摯に音楽に向き合う彼ららしい美しく完璧なギター・アンサンブルに心を洗われるような素晴らしい作品だ。
なんと、これがキャリア通算40作目とのこと。1951年ブラジル北東部パライーバ州生まれの歌手エルバ・ハマーリョ(Elba Ramalho)の新作『Isso Quer Dizer Amor』は、親しみやすい伝統的なフォホーの素晴らしさを凝縮した作品だ。情熱的でエネルギーに満ちた歌唱は、とても御年72歳とは思えない。
ブラジル・サンパウロ州ヒベイラン・プレト出身のSSW/ギタリスト、ヴェロニカ・フェヒアーニ(Verônica Ferriani)の2024年新譜『Cochicho no silêncio vira barulho, irmã』。タイトルのポルトガル語は直訳で「静寂の中での囁きはやがて騒音になるよ、シスター」の意味で、2枚組のアルバムのほぼ全てが女性だけで作られており、コンセプトも女性そのものの存在と、その存在がもたらす様々な事象をテーマとして扱っている重要作だ。
アンゴラ出身、青春時代をブラジルで過ごし、現在はポルトガルを拠点とするパーカッション奏者ルカ・レボルダン(Ruca Rebordão)。これまで200枚以上のアルバムの録音に参加してきたというベテランだが、彼自身の名義としてはこれが初めてのアルバムになるそうだ。『Mestiço Atlântico』、“混血の大西洋”と題された今作で、彼がこれまで過ごしてきたポルトガル語文化圏での多様な音楽をひとつのサラダボウルに入れ、大西洋の両岸をつなぐ壮大な音空間を作り上げた。
ブラジルのデュオ・ユニット、ベンジエー(Benziê)のデビューアルバム『Entre』が素晴らしい。MPB、ボサノヴァ、レゲエ、サーフミュージックなどを混合した清涼感のあるサウンドで、抜群のハーモニー感覚とメロディーのセンス、バランスの良い男女ヴォーカルが最高に気持ちいい。
ヴォーカリストのマリアーナ・アイダール(Mariana Aydar)と、アコーディオン奏者メストリーニョ(Mestrinho)による絶品フォホー『Mariana e Mestrinho』。ト・ブランヂリオーニ(Tó Brandileone)によってプロデュースされ、北東部(ノルデスチ)音楽の伝統的な音楽性を軸にしながらも、サウンド面はしっかりと現代感覚が織り込まれた作品に仕上がっている。
ブラジル北東部の独特のリズムと、ニューオーリンズ・ジャズの共通点を追求するブラスバンド、ネイション・ビート(Nation Beat)。20年にわたって南北アメリカの文化の類似点を探究してきたリーダーで打楽器奏者のスコット・ケトナー(Scott Kettner)が率い、女性スーザフォン奏者ヘザー・イエワー(Heather Ewer)が低音を支える彼らの新作『Archaic Humans』は、一見異なる音楽文化もごく自然と融合でき、それが新しさを強力な推進力をもって生み出す原動力となり得ることを証明する優れた作品だ。