- 2023-06-25
- 2023-07-09
アンドレ・メマーリ全面参加!ブラジル音楽に傾倒する仏ドラマー、フランソワ・モラン新譜
フランス出身でブラジルの音楽にも造詣が深いドラマー、フランソワ・モラン(François Morin)の2022年新作『Particules』は、フランスとブラジルを代表する音楽家たちを迎え、全編に豊かな感受性を湛えた素晴らしい作品だ。
フランス出身でブラジルの音楽にも造詣が深いドラマー、フランソワ・モラン(François Morin)の2022年新作『Particules』は、フランスとブラジルを代表する音楽家たちを迎え、全編に豊かな感受性を湛えた素晴らしい作品だ。
現代イスラエル・ジャズシーンを代表するベーシスト/作曲家、ヨセフ・ガトマン・レヴィット(Yosef Gutman Levitt)新譜 『Soul Song』は、これまでバンドを組んできたオムリ・モール(Omri Mor, p)とオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya, ds)に加え、バークリー時代の旧友であるギタリストのリオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)を加えた超豪華カルテットでの作品となった。
アラブ、バルカン、ブラジルなど様々な音楽性が混淆するレバノン出身・フランス在住のジャズ・サックス奏者/作曲家トゥーフィック・ファルーク(Toufic Farroukh)の新譜『Untamed Elegance』は、期待を裏切らないワールド・ミュージック×ジャズの意欲作だ。彼の過去作でも重要な共演者であったピアノのレアンドロ・アコンチャ(Leandro Aconcha)をはじめ総勢20名近くの音楽家が参加し、ユニークで豊穣な音絵巻を作り上げている。
テキサス州ヒューストン生まれのピアニスト/作曲家/数学者アンドリュー・ムーアヘッド(Andrew Moorhead)が同郷のベーシスト、マルコス・ヴァレラ(Marcos Varela)と、米国を代表するドラマーの一人であるアリ・ホーニグ(Ari Hoenig)とのトリオでデビューアルバム『Interleaved』をリリースしている。
現代ジャズ最高峰のベーシストのひとり、リンダ・メイ・ハン・オー(Linda May Han Oh)のアルバムはいつも深淵なテーマが提示される。2023年の彼女の新譜のタイトルは『The Glass Hours』。人間がそれぞれ個々に持っている時間のあまりの短さ、その中で個人としてできることへの思索。自分ではどうしようもないように思える社会や国家の問題──。自らの非力さを嘆くところから、ガラスのように脆弱な時間という発想が浮かんだ。
カリフォルニア州出身のトロンボーン奏者/歌手のナタリー・クレスマン(Natalie Cressman)と、ブラジル生まれのギタリスト/歌手イアン・ファキーニ(Ian Faquini)のデュオによる第二弾アルバム『Auburn Whisper』。絶賛された前作『Setting Rays of Summer』から3年。深い音楽的パートナーシップを経て夫婦となった二人による今作は、より温かみを増した極上の音に満ちている。
イスラエル出身のマルチ木管奏者、ギラッド・ローネン(Gilad Ronen)による自身3作目のリーダー作『Reflections』。3管含む最大9名のアンサンブルで、スウィングから現代ジャズ、さらにはイスラエル音楽やインド音楽まで幅広く取り込んだ個性的なジャズが聴ける素晴らしいアルバムだ。サックスだけでなくフルート、クラリネットなど木管楽器をマルチにこなす彼だが、今作はテナーサックスに専念している。
4人が4人とも異なるタイムゾーンに住んでいるから、アルバム名は『Time Zones』。米国中のフェスやセッションを通じて出会い、2022年にデビュー作『Esthesis Quartet』をリリースした女性奏者4人によるカルテット、エステシス・カルテット(Esthesis Quartet)の第二作目はそんな分かりやすいタイトルとは裏腹に、非常に洗練された“感覚的(= Esthesis)な”ジャズ・アルバムに仕上がっている。
黒澤明の『生きる』に触発されたユニット名をもつフランスのサックスとピアノのデュオ、IKIRU。『生きる』の主人公と同じように健康上の問題を抱えるサックス奏者のファブリス・トゥイヨン(Fabrice Theuillon)が新作で選んだ題材は、それまでの音楽の常識を覆し、現代的な音楽の礎を築いたエリック・サティ(Éric Satie, 1866 - 1925)だ。
イスラエルで活動するエスノ・ジャズバンド、CaifásのデビューEP『The Meggido Sessions』。ジャズや中東音楽をベースにした複雑で個性的な楽曲を、ピアノ、ウード、サックス、ベース、ドラムスのクインテットで聴かせる魅力的なグループだ。数多いイスラエル・ジャズの若手グループの中でも、彼らのその土着志向で右に出るものはなかなかいないであろう。
ピアノ奏者のイタイ・シンホーヴィッチ(Itay Simhovich)、ベースのイライ・サロモン(Ilai Salomon)、ドラムス奏者ヤリ・スターン(Yali Stern)から成るイスラエルのピアノトリオ、Zafioのセルフタイトルのデビュー・アルバム『Zafio』は、同地の活発なジャズシーンを象徴する良作だ。プロデュースはピアニスト/作曲家のトメル・バール(Tomer Bar)が担っている。
スキャットで歌いながらヴァイオリンを弾くという個性的なスタイルで知られるスイス出身のエヴァ・スロンゴ(Eva Slongo)が、イタリア出身ジャズ・ピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)らとクインテットを組み、ジャズとクラシックという“滅多に出会うことのない二つの世界”の融合を目指した作品が『Souffle』(2022年)だ。
スリランカのプログレッシヴ・ロックバンド、Thriloka による2009年作『Bisura』が面白い。“3つの世界”を意味するバンド名の彼らは、パーカッション奏者パバル・ウィジェグナワルダネ(Pabalu Wijegoonawardane)を中心に、ロックなギター、ジャジーなピアノがエスニックな旋律の中で飛び交う。ほかの多くのプログレバンドと同じようにクラシックやロック、ラテン、ジャズなどの要素を混ぜ合いながら、Thrilokaはスリランカ独自の音楽文化を反映していく。
南アフリカの気鋭ギタリスト/作曲家ヴマ・レヴィン(Vuma Levin)が、自身のクインテットとオランダ・アムステルダムの管弦楽団アモック(AM.OK)とともに制作した新作『The Past Is Unpredictable, Only the Future Is Certain』が素晴らしい。南アフリカの先住民族の伝統的な音楽実践と楽器編成をベースとしつつ、ジャズ、ポピュラー音楽、カリブ海の音楽、そして西洋クラシック音楽のオーケストラというフィルターを通して構築された音世界は越境的で斬新。