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ブラジル

  • 2024-07-14
  • 2024-07-14

モリコーネも久石譲も。新鋭ギター奏者プリニオ・フェルナンデスが奏でる映画史を彩る名曲たち

ブラジルの若手クラシック・ギタリスト、プリニオ・フェルナンデス(Plínio Fernandes)の新作EP『Cinema』は、その名のとおり映画音楽の名曲たちを演奏した作品だ。一部に多重録音も駆使し、クラシックギター1本で表現力豊かに演奏された映画史に残る数々の音楽は、多くの人々の脳裏に名場面を鮮やかに蘇らせるだろう。

  • 2024-07-07
  • 2024-07-07

沈黙の中の小さな声も、やがて大きな音になる──SSWヴェロニカ・フェヒアーニが望む未来

ブラジル・サンパウロ州ヒベイラン・プレト出身のSSW/ギタリスト、ヴェロニカ・フェヒアーニ(Verônica Ferriani)の2024年新譜『Cochicho no silêncio vira barulho, irmã』。タイトルのポルトガル語は直訳で「静寂の中での囁きはやがて騒音になるよ、シスター」の意味で、2枚組のアルバムのほぼ全てが女性だけで作られており、コンセプトも女性そのものの存在と、その存在がもたらす様々な事象をテーマとして扱っている重要作だ。

  • 2024-06-29
  • 2024-06-29

大西洋両岸のルゾフォニアを繋ぐ打楽器奏者ルカ・レボルダン、自身のキャリアを総括するデビュー作

アンゴラ出身、青春時代をブラジルで過ごし、現在はポルトガルを拠点とするパーカッション奏者ルカ・レボルダン(Ruca Rebordão)。これまで200枚以上のアルバムの録音に参加してきたというベテランだが、彼自身の名義としてはこれが初めてのアルバムになるそうだ。『Mestiço Atlântico』、“混血の大西洋”と題された今作で、彼がこれまで過ごしてきたポルトガル語文化圏での多様な音楽をひとつのサラダボウルに入れ、大西洋の両岸をつなぐ壮大な音空間を作り上げた。

  • 2024-06-22
  • 2024-06-22

ボサノヴァ、トロピカリア、レゲエなどの流れを汲んだ極上の現代MPB。男女デュオ Benziê が最高!

ブラジルのデュオ・ユニット、ベンジエー(Benziê)のデビューアルバム『Entre』が素晴らしい。MPB、ボサノヴァ、レゲエ、サーフミュージックなどを混合した清涼感のあるサウンドで、抜群のハーモニー感覚とメロディーのセンス、バランスの良い男女ヴォーカルが最高に気持ちいい。

  • 2024-06-13
  • 2024-06-13

ブラジルの真髄、フォホーという音楽が最高な理由が凝縮された傑作。『Mariana e Mestrinho』

ヴォーカリストのマリアーナ・アイダール(Mariana Aydar)と、アコーディオン奏者メストリーニョ(Mestrinho)による絶品フォホー『Mariana e Mestrinho』。ト・ブランヂリオーニ(Tó Brandileone)によってプロデュースされ、北東部(ノルデスチ)音楽の伝統的な音楽性を軸にしながらも、サウンド面はしっかりと現代感覚が織り込まれた作品に仕上がっている。

  • 2024-06-09
  • 2024-06-09

複雑すぎる時代に生き、感情の全てを発露する驚くべきテナーサックス。先駆者オデッド・ツール新譜

“21世紀のコルトレーン・カルテット”を率いる求道者にとって、この1年間はどのような心境の変化を与えたのだろうか。(2)「Child You」も(3)「Through A Land Unsown」も、曲が佳境に入り感情が昂るにつれ、彼のサックスとしてはこれまであまり聴いたことのない急激で激しい音色の変化を見せる。ガーディアン紙はかつて彼の音色を“サックスのささやき”と表現したが、今作でのサックスの表現はより機微に富み、抑制と発散を絶え間なく行き来し、時折激しい怒りとも深い悲しみともつかない叫びをあげる。

  • 2024-06-06
  • 2024-06-06

ブラジルを代表する名手たちによる至高のクインテットを堪能。マルタ・カラサワ『Tempo Bom』

ブラジル・サンパウロのピアニスト/作編曲家マルタ・カラサワ(Marta Karassawa)がブラジルを代表する名手たちを擁するクインテットで録音した『Tempo Bom』。クインテットのメンバーはピアノのマルタのほか、フルート/サックスのテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)、トランペット/フリューゲルホルンのセヂマール・ヴィエイラ(Sidmar Vieira)、ベースのドイツ出身サンパウロ在住フランク・ハーツバーグ(Frank Herzberg)、そしてドラムスのゼー・エドゥアルド・ナザリオ(Zé Eduardo Nazário)という構成で、いずれも長年ブラジルのジャズの第一線で活躍する凄腕だ。

  • 2024-06-02
  • 2024-06-02

どうしようもなくクレイジーな異端サンバジャズ。鬼才アントニオ・ネヴィス『Deixa Com a Gente』

ブラジルのトロンボーン/ドラムス奏者アントニオ・ネヴィス(Antônio Neves)が新作『Deixa Com a Gente』をリリースした。ある種の狂気やカオスを感じさせた前作『A Pegada Agora É Essa (The Sway Now)』の要素もほのかに残しつつ、全体的にはサンバやショーロの感覚が大幅に強化された作品となった。

  • 2024-05-30
  • 2024-05-30

エルメート・パスコアール。唯一無二のレジェンドが四半世紀前に他界した最愛の妻に宛てた最後の手紙

ブラジルのレジェンド、エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)が亡き最愛の妻に宛てた新作『Pra você, Ilza』(イルザ、あなたのために)をリリースした。アルバムには妻が亡くなる直前の1999年〜2000年に彼女のために書かれたものをゼロからアレンジした楽曲群が収録されている。自身のグルーポを率い、音楽的にはエルメート・パスコアールらしさが全開の最高に楽しい作品だが、人生を寄り添い続けた妻へのエピソードと現在の彼自身の87歳という齢を考えるとなんとも感慨深いものが感じられる。

  • 2024-05-28
  • 2024-05-27

アミルトン・ヂ・オランダとC4 Trio、ラテングラミー常連の2者がコラボ!南米音楽を巡る豊かな旅

ブラジルのバンドリン名手アミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)と、ベネズエラのクアトロを中心とした弦楽器グループC4トリオ(C4 Trío)。ともに2022年のラテングラミー賞でノミネートされ、授賞式で席を共にした両者が初のコラボ作品『Tembla』をリリースした。一括りにラテン、ブラジル、そしてジャズが混ざり合ったアルバムというのは簡単だが、ここには驚くほどに豊かなカリブ海や南米、そしてスペインの音楽文化が凝縮されている。

  • 2024-05-26
  • 2024-05-26

ジスブランコのクラウヂア、ブラジルの伝説的音楽家シヴーカを再解釈。マルコス・スザーノも参加!

ビアンカ・ジスモンチとのデュオ“Gisbranco”の活動などで知られるピアニスト/歌手のクラウヂア・カステロ・ブランコ(Claudia Castelo Branco)の新作『Viva Sivuca』は、その名のとおりブラジルを代表する音楽家シヴーカ(Sivuca)へのトリビュート・アルバムだ。楽曲は単なるシヴーカのありきたりなカヴァーではなく、クラウヂアによって原曲の良さを活かしつつ新たな解釈が加えられており、とても聴きごたえのある作品となっている。

  • 2024-05-22
  • 2024-05-22

バンドは“創造的シエスタ”へ──。フランシスコ・エル・オンブレのラスト・アルバム

ブラジルのミクスチャー・バンド、フランシスコ・エル・オンブレ(Francisco, el Hombre)の新作『Hasta El Final』がリリースされた。バンドは今年3月7日に彼らが”クリエイティヴなシエスタ(siesta criativa)”と呼ぶ無期限の活動休止に入ることを発表しており、これが最後のアルバムとなる。ゲストとしてレニーニ(Lenine)、パト・フ(Pato Fu)、マルチナリア(Mart'nalia)といったブラジルを代表するアーティストも参加しており、まさしく集大成的な音楽を作り上げている。

  • 2024-05-15
  • 2024-05-15

孤高の天才サンドロ・ハイキ。あらゆる楽器を演奏し、たった独りで創り上げた別次元のアルバム

ブラジル・サンパウロ出身のマルチ器楽奏者/作編曲家のサンドロ・ハイキ(Sandro Haick)の2024年新譜『Gratitude』。ブラジルの伝統的なリズムとジャズ、プログレッシヴ・ロックが絡み合う素晴らしい作品で、アジアや中東の楽器をも取り入れた多彩な音楽表現に一種の凄みすら感じさせる作品だ。そして何よりも驚くべきは、これらのオリジナリティに溢れた素晴らしい音楽を、サンドロ・ハイキがたった一人で創り上げているということだ。

  • 2024-05-14
  • 2024-05-22

内省的な“祈り”をテーマに、自己の深層を探求するミナスの個性派SSWルイーザ・ブリーナ新作

ブラジル・ミナスジェライス州の鬼才SSW、ルイーザ・ブリーナ(Luiza Brina)は、10年以上の歳月にわたり「Oração」(祈り)と呼ぶ一連の譚詩曲を創作してきた。その一部は彼女の過去作『Tão Tá』や『Tenho Saudade Mas Já Passou』にも収録されてきたが、2024年リリースの今作『Prece』はついに全編が「Oração」となり、ルイーザ・ブリーナの全てを曝け出すようなアーティスティックの極致のような作品となった。