- 2022-09-23
- 2022-09-23
7年間の制作期間を経てリリースされたマカヤ・マクレイヴン新譜。音楽の未来への確かな標石
ドラマー、マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)の新作『In These Times』が、インターナショナル・アンセム、ノンサッチ、XLレコーディングスの3レーベルによる合同プロジェクトとして9月23日にリリースされた。そのサウンドは“音を楽しむ”音楽の原点のようでもあり、ジャズやポピュラー音楽の未来を指し示すようでもある。
ドラマー、マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)の新作『In These Times』が、インターナショナル・アンセム、ノンサッチ、XLレコーディングスの3レーベルによる合同プロジェクトとして9月23日にリリースされた。そのサウンドは“音を楽しむ”音楽の原点のようでもあり、ジャズやポピュラー音楽の未来を指し示すようでもある。
ブラジル・サンパウロのピアニスト、アレシャンドリ・ヴィアナ(Alexandre Vianna)のピアノトリオ新作『Música para dar sorte』。2016年のトリオのデビュー作『Ânimo』以来の2枚目の作品で、ベースにジョアン・ベンジャミン(João Benjamin)、ドラムスにハファエル・ロウレンソ(Rafael Lourenço)という編成も変わらず。
史上最も売れたと言われるジャズのソングブック『The Real Book』には、デューク・エリントン、ディジー・ガレスピー、ジョン・コルトレーン、ハービー・ハンコック、チック・コリアといった偉人たちのスコアが400曲収録されている。そのうち399曲は男性が書いた曲で、女性が書いた曲は1曲のみだ。女性ドラマー、テリ・リン・キャリントン(Terri Lyne Carrington)はそんな状況を疑問に思っていた。
10年以上音楽から離れていながら、2019年に活動を再開しユダヤ教のハシディズム(神秘主義的運動)の伝統とコンテンポラリー・ジャズを組み合わせた独自のスタイルで一躍イスラエル・ジャズの中心に返り咲いたベーシスト/作曲家、ヨセフ・ガトマン(Yosef Gutman)の新譜『Ashreinu』のテーマは、なんと“ブラジル音楽”だった。
卓越したギタリスト、ベンジ・カプラン(Benji Kaplan)が前編ソロで録音した新譜『Something Here Inside』は、コール・ポーターやリチャード・ロジャース、ガーシュウィンといった古い作曲家たちのスタンダード曲に新たな視点を吹き込む素晴らしい作品だ。
ピックを持つ指先から6本の弦が張られたエレクトリック・ギター本体、弦の振動を拾うピックアップからケーブルで繋がれたエフェクター、アンプまで。それらすべてが精神や肉体と同化してしまった正真正銘のギタリスト。現代最高峰ジャズ・ギタリストと称されるジュリアン・ラージ(Julian Lage)の新譜『View With A Room』を聴くと、彼こそがギターそのものなのではないかとさえ錯覚してしまうほど。
まもなく活動開始から20周年を迎えるエレクトロ・スウィングのパイオニア、テイプ・ファイヴ(Tape Five)が8枚目となるアルバム 『Both Sides of the Moon』をリリースした。今作も変わらずレトロなスウィング・ジャズとダンサブルなエレクトロ・サウンドの完璧な融合が楽しく、リスナーを細胞レベルで元気づけてくれる最高のアルバムだ。
米国のピアニスト/作編曲家ヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)の最新作『Caribbean Nocturnes』は、ベートーヴェンやモーツァルト、ショパンなどの西洋クラシックをルンバ、ソン、ズークといったアフロ・カリビアン音楽に持ち込んでしまった野心的なプロジェクトの第二弾だ。
フランス北東部の街ストラスブールを拠点に活動するジャズユニット、エミール・ロンドニアン(Emile Londonien)の新作『Jazz Contenders』。2021年にデビューし、ロンドンのニュージャズのシーンからも注目される彼らの洗練されたグルーヴィーなサウンドが楽しめる好盤だ。
デンマーク出身のベーシスト、モーテン・アンカーフェルト(Morten Ankarfeldt)とブラジルのサックス&フルート奏者エドゥアルド・ネヴィス(Eduardo Neves) 、そして同じくブラジルのギタリスト、カイオ・マルシオ・サントス(Caio Marcio Santos)。伝統に即しつつも常に先進的な音楽を追求してきた彼ら3人の共同名義のアルバム『Cadência Verde e Amarela』が登場した。
「マコンド」という街の名を聞いて、えも言われぬ憧憬と寂寥を胸のうちに感じる人は多いだろう。ラテン文学の名作『百年の孤独』(ガブリエル・ガルシア=マルケス)で描かれたブエンディア家を中心とした7世代にわたる100年間の盛衰の物語は現実の世界にも大きな影響をもたらしたし、魔術的なラテンアメリカの伝承や、抗争の歴史の末に無秩序なパワーバランスがどういう訳か一定の秩序を築き上げる様は多くの人に深い関心を抱かせたはずだ──人間の営みとは、こうも愚かで愛おしいものなのか、と。
ブラジル出身のベーシスト/ギタリスト/作曲家、ムニール・オッスン(Munir Hossn) がラテン文化圏で活躍する女性音楽家たちを迎え制作した新譜『Vientre』は、ブラジルやスペイン、キューバなどの伝統から連なるリズムとジャズの洗練されたハーモニーが重なり合い、想像を絶するほど神懸り的な創造的プロセスを得て完成された素晴らしい音楽作品だ。
“青髭のティグラン・ハマシアン”ことイスラエルのピアニスト/マルチ奏者/作曲家ロン・ミニス(Ron Minis)が前作から3年ぶりとなる待望の新譜『Smart Phones Stupid People』をリリースした。今作はドラムスにヨゲフ・ガバイ(Yogev Gabay)、ベースにダニエル・ハーレフ(Daniel Harlev)という俊英を迎え、見かけ上の編成こそシンプルなピアノトリオだが、複雑な変拍子やポリリズムを駆使したロン・ミニスらしいプログレッシヴな音の洪水を浴びせかける。
93年の3rdアルバム『Black Reign』では「U.N.I.T.Y」でグラミー賞(ベスト・ソロ・ラップ・パフォーマンス)を受賞と、もはや性別を超え、ラッパーとして確固たる地位を築いた彼女は今、前述のように映画スターとして、そしてシンガーとして今を歩んでいる。そんな"シンガー"クイーン・ラティファの名刺がわりとなるのが、今回紹介する07年作『Trav'lin' Light』である。