仏技巧派ベース奏者エルヴィン・ビロニアン、現代的なカリビアン・ジャズの好盤

Elvin Bironien - Lueurs

グレゴリー・プリヴァらを迎えたエルヴィン・ビロニアン新譜『Lueurs』

フランスを代表する技巧派ベーシスト、エルヴィン・ビロニアン(Elvin Bironien)の2022年新譜『Lueurs』は、マルティニーク出身の鍵盤奏者グレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)、ドラマーのティロ・ベルトロ(Laurent-Emmanuel Tilo Bertholo)、そしてキューバからはサックスのリカルド・イスキエルド(Ricardo Izquierdo)を迎え、適度なリラックスの中でほのかにカリブ海の風が香る即興の妙技を聞かせてくれる爽快な作品だ。

伝統的なカリビアン・ジャズに則っているかと思いきや、予想外にサウンドは現代的。エルヴィン・ビロニアンのベースとティロ・ベルトロのキックは絶妙に連携し、グレゴリーは歪み気味のエレクトリック・ピアノを弾きまくり、リカルドのテナーサックスは我主導せんとばかりにブロウする。

(3)「Lésé palé」はマルティニークのピアニスト、マリオ・カノンジュ(Mario Canonge)の人気曲のカヴァーで、グアドループ出身のシンガー、エリック・ペデュラン(Erik Pédurand)がゲスト参加。こうしたヴォーカル入りの楽曲がよりカリブっぽさを表しているあたりも面白い。

(3)「Lésé palé」

FDH Trioでの活躍も知られるElvin Bironien

1986年生まれのエルヴィン・ビロニアンはマイルス・デイヴィス、フランク・ザッパ、セルジュ・ゲンズブール、サリフ・ケイタなどの音楽が流れる家庭に育った。13歳で独学でエレクトリック・ベースを始め、ジャズや西アフリカの音楽、キューバやブラジルの音楽、さらにはポップスやR&Bなど好奇心の赴くままにジャンルの分け隔てなく吸収していった。なかでも母方の祖父がフランス海外県マルティニーク出身だったため、カリブ海の音楽文化には特に興味を持ったという。

ピアニストのティボー・デュフォイ(Thibaud Dufoy)とドラマーのアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)とともにFDH Trioを結成し活動。2016年には自身初のリーダー作『A Quest』をリリースしている。

Elvin Bironien – electric bass
Erik Pédurand – vocal (3, 8, 11)
Grégory Privat – Rhodes, Nord Stage
Ricardo Izquierdo – tenor saxophone
Tilo Bertholo – drums

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