デスメタルの垂れ流しが止まらない!
AIで自動生成され続ける音楽が、YouTubeでライヴ配信されている。しかもジャンルはデスメタルだ。
まずは、下のYouTubeのライヴストリーミング動画を再生しながら、この記事を読んでもらいたい。
YouTubeチャンネル『DADABOTS ᴏғғɪᴄɪᴀʟ』では、2019年3月24日から今日に至るまでずっと、ニューラルネットワークによって自動生成された“デスメタル”が24時間絶えず垂れ流され続けている。
タイトルは「執拗なドッペルゲンガー(Relentless Doppelganger)」だ。
ちょっと音質は悪いが、何かを言っていそうで実は何も言っていないデス声ヴォーカル(?)はそれっぽい。たまに面白いフレーズが出てきたりして感心したりもする。
音楽はどこに向かうのか──これもひとつの道かもしれない
これはニューラルシンセシスの初期のサンプルだ。AIがディープラーニングによって音楽をどう理解し、それからどのような新しい音楽を生み出せるかの実証実験だ。
この狂気の沙汰とも思えるAIを開発したのは、なんと名門バークリー音楽大学で出会ったというCJ Carr氏とZack Zukowski氏。
回帰型ニューラルネットワーク(RNN)という学習アーキテクチャに基づいて音楽を自動生成する人工知能「SampleRNN」を改良し、このデスメタル生成AI「Dadabots」を開発したという。
このAIが学習に使用したのは、カナダの2007年結成のテクニカル・デスコア・バンドArchspireだ。
最新作は2017年『Relentless Mutation』など、これまでに3枚のアルバムをリリースしている。
テクニカル・デスメタルとは、その名の通り複雑・難解なフレーズをひたすら多用するデスメタルのこと。アートで先鋭的なものを好むリスナーに支持されてきたデスメタルのサブジャンルのひとつだ。
まさにAIが学習し、それっぽく再現するにはうってつけの題材なのかもしれない。
6月からは無限フリージャズのライヴ配信も開始
そして6月、新たな垂れ流しライヴも始まっている。
このAIがフリージャズを習得するのに要した時間は、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のアルバム『Interstellar Space』を16回聴いただけなのだそうだ。
元となったアルバムと聴き比べてみても、なるほど、うまく雰囲気はコピーされている。
類まれなセンスを持って生まれ、1日8時間の血の滲むような努力を重ねた音楽家でさえ、さすがに1日24時間365日演奏を続けることはできはしない。
この無限デスメタルや無限フリージャズ、BGMとして悪くはないんじゃないか…
この世の人が生み出すもの全てが厭になり、有機的な無機質に逃げ込みたいときなど、役に立ちそうなコンテンツではある。