クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子、新譜でラテンJAZZな「スーパーマリオ」

Alfredo Rodriguez & Pedrito Martinez - Duologue

クインシー・ジョーンズに認められたキューバの若き2人の才能

キューバ出身のピアニスト/ヴォーカル、アルフレッド・ロドリゲス(Alfredo Rodriguez)と、同じくキューバ出身のドラマー/パーカッショニスト/ダンサー/ヴォーカルのペドリート・マルティネス(Pedrito Martinez)のデュオアルバム『Duologue』は、全編ラテン気質の踊りたくなるような楽しい作品だ。

プロデューサーは、あのクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)。
マイルス・デイヴィスやフランク・シナトラ、そしてマイケル・ジャクソンなどのプロデューサーとして次々とヒットを飛ばした20世紀の最重要音楽家だ。

2019年現在もまだまだ現役のクインシー・ジョーンズは近年、キューバから来たピアニスト、このアルフレッド・ロドリゲスの才能に惚れ込み、これまでも彼のアルバムを全面的にバックアップしてきた。

異なるバックボーンの二人の奇跡的な邂逅

今回初めて『Duologue』でデュオを組んだアルフレッド・ロドリゲス(p)とペドリート・マルティネス(ds, per)。

同じくキューバの首都ハバナ出身ながら、一方のアルフレッドはポップシンガーの父親のもとクラシックピアノの教育を受けて育ち、もう一方のペドリートはストリートからの叩き上げというまったく異なるバックボーンを持つ二人。
それぞれキューバを出たあとは米国に移住し、NYの最先端の音楽シーンに身を置き、様々な文化の影響を受けアーティストとしての個性を磨いてきた。

アルフレッドの端正なピアノにはクラシックの確かなテクニックと、アフロキューバンジャズの陽気な雰囲気がしっかり同居している。
対してスティングやポール・サイモン、ウィントン・マルサリスとも共演を重ねてきたペドリートが叩き出すリズムは強靭で、生命のエネルギーに満ちている。

二人は2012年のアルフレッドのアルバム『The Invasion Parade』でペドリートがゲストの形で数曲で共演して以来の本格的なタッグとなる。アルバムのオリジナル曲はほぼ全てアルフレッドが骨子を作り、そこにペドリートがリズムをつけ、最後にクインシー・ジョーンズが仕上げたという。

アルバムは全編良曲揃いだが…なんか浮いた曲が

そうして完成した『Duologue』は、ラテンジャズがベースにはなっているが楽曲によって実に多彩な顔を見せてくれる傑作だ。

クインシーの代名詞的な(3)「Thriller」にまず耳を奪われる。ライヴでもハイライトとして披露される、秀逸なアレンジだ。

マイケル・ジャクソンの「スリラー」は、
クインシー・ジョーンズの仕事の中で最も知られている曲でもある。
ペドリート・マルティネスはパーカッションだけでなく、ストリート仕込みのダンスも披露。

がしかし…アルバムを聴き進めていくと唐突に始まるあの伝説的ゲーム音楽に、全部持って行かれてしまう感が拭えないのだ…。

(9)「Super Mario Bros 3」である。

ラテンなイントロに導かれているものの、15秒すぎに正体を表す。
…完璧にマリオである。コインを取る音などもしっかり再現されていて、笑わせにきているとしか思えない。

いや、もちろんアレンジの完成度もめちゃくちゃ高いし、原曲もラテンぽいリズムなのでもしかしたら妥当な選曲なのかもしれない…が、

やっぱりマリオだけはめちゃめちゃアルバムの中で浮きまくっている(笑)

これも細かいことを気にせず、とにかく楽しくが至上のラテン気質の成せるワザなのだろうか。
アルバム全体の統一感を考えると、やはりこの曲はアルバムに加えるべきではなかったのでは…と若干モヤる。

アルフレッドがソロで披露する「スーパーマリオのテーマ」
楽しそうでなによりだ。
完成版はぜひアルバムの9曲目を聴いてもらいたい。
Alfredo Rodriguez & Pedrito Martinez - Duologue
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