バンド名は小津安二郎から。ブラジルの新進気鋭バンド「OZU」
キーボード奏者/作曲家のフランシスコ・カブラウ(Francisco Cabral)を中心としたブラジルの男女混成6人組エレクトロ・ジャズバンド、オズ(OZU)が面白い。2018年作『Inner』などキーボード、ギター、ベース、ドラムスの生バンドにターンテーブルやサンプリングを絡め、多層的な音響空間を作り出す彼らは、日本文化を深くリスペクトする興味深いバンドなのだ。
バンド名の「OZU」は、日本が誇る映画監督/脚本家の小津安二郎(Yasujiro Ozu, 1903年12月12日 – 1963年12月12日)から取られている。楽曲にも『Inner』収録の(1)「Anthony Hideaki」や、『The Lo-Fi Sessions』収録の(3)「Samui」、(7)「Nakamura Park」などそこはかとなく日本感が漂う曲名が目立つ。
サンパウロの日本人街リベルダージにある茶室「伯栄庵」を訪れ茶道を学ぶなど、日本文化に深く傾倒する様子もYouTubeで紹介されている彼らだが、サウンドは現代的なエレクトリック・ジャズ。
人力ドラムンビートといった高度なテクニックを持つグルーヴィーなドラマー、フェリペ・パグリアト(Felipe Pagliato)にターンテーブルのDJ Rta、サンプラーに時にヴォーカルも務めるジュリアナ・ヴァーリ(Juliana Valle)がHip-Hopやエレクトロニック・サウンドの肝となり、バンドのほぼ全曲を作曲するリーダー、フランシスコ・カブラウ(Francisco Cabral)や、ポルトガル出身で2013年にブラジルに移住し実験的なプロジェクト「The Smell Of Dust」なども主宰する鬼才女性ギタリスト、スー・エリー・アンドラーデ・デ(Sue Élie Andrade Dé)、さらには堅実に低音部を支えるベース奏者ジョアン・アマラウ(João Amaral)はジャズや現代音楽的なサウンドの核を担う。
6人の個性的なメンバーそれぞれがOZUというバンドのサウンド面で代えの効かない役割を担い、“アイディアのリサイクルと外部要素の最適化”というコンセプトにもコミットする。
とにかく面白いバンドが、サンパウロから現れた。
OZU :
Francisco Cabral – keyboards
Sue Élie Andrade Dé – guitar
Felipe Pagliato – drums
João Amaral – electric bass
DJ Rta – turntables
Juliana Valle – sampler, vocals