ヨーロッパの辺境から現れたカリスマ的表現者、カトリ・ヴォーラント

Kadri Voorand - In Duo with Mihkel Mälgand

カトリ・ヴォーラントという個性派アーティスト

エストニア出身のピアニスト/歌手/作曲家、カトリ・ヴォーラント(Kadri Voorand)の2020年作『In Duo with Mihkel Mälgand』はベーシスト、ミヒケル・マルガンド(Mihkel Mälgand)とのデュオ編成での趣向を凝らしたオリジナル曲のほか、マイケル・ジャクソンのカヴァー(6)「They Don’t Really Care About Us」なども魅力的な意欲作。

カトリ・ヴォーラントはジャズやフォーク、R&B、ケルト音楽、エレクトロニカなどを自然に融合させた個性的なスタイルで独特の存在感を放つ。
まずはぜひ、(1)「I’m Not in Love」の映像を観てもらいたい。彼女の表現者としての魅力が詰まった動画だ。

(1)「I’m Not In Love」のライヴ映像。
ルーパーなどの機材も駆使したパフォーマンスを見せる。
5弦のアコースティック・ベースギターを操るミヒケル・マルガンドの演奏も魅力的だ。

前述のマイケル・ジャクソンのカヴァーや、ジョン・レノンの「イマジン(Imagine)」の一節を引用した(4)「Like Yoko and John」など、聴き手の心をグッと掴んで離さないセンス。(2)「Ageing Child」での分かりやすいポップセンスも、(9)「Where Would You Be」でのヴァイオリンやチェロ、ヴォーカルの多重録音から溢れ出るアート性も、このヨーロッパの辺境(失礼?)から現れたあまり知られていないアーティストの名をあらゆる音楽ファンに売り込むには十二分だろう。

カリスマ性に溢れた若き才能

カトリ・ヴォーラント(Kadri Voorand)は1986年エストニア生まれ。幼少期からフォークミュージック・アンサンブルで歌い、ピアノを習うなど音楽に親しんできた。
タリン(エストニアの旧都)とストックホルムのアカデミーでジャズを学び、2016年のアルバム『Armupurjus』ではエストニア音楽賞を受賞、年間最優秀女性アーティストおよび年間最優秀ジャズアルバムの栄誉に輝き、既に母国エストニアではスター級の扱いとなっている彼女。
その人気はバルト諸国、スカンジナビア、ドイツ、南および東ヨーロッパを中心にますます加熱してきている。

(2)「Ageing Child」のライヴ演奏動画。
デュオ編成のアルバムと違い、ここでは大編成のバンドで演奏されている。

Kadri Voorand – vocals, piano, chromatic kalimba, violin, glockenspiel, electronic effects
Mihkel Mälgand – double bass, bass guitar, bass drum, cello, percussion


Guest:
Noëp – vocals (7)

Kadri Voorand - In Duo with Mihkel Mälgand
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