マリアナ・ミチというSSW
アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のマリアナ・ミチ(Mariana Michi) というシンガーソングライターが最近気になっている。
同時進行的に Miau Trio や Mugre、Ocho といった複数のバンドに参加している彼女だが、ソロ作もリリースしているので今回はそのソロアルバム『Cayó el Valiente』(2018年)から掘り下げていってみようと思う。
この作品は適度にエレクトロニカも使いながら、全体的に彼女の自然体のヴォーカルと素朴でフォークロアな曲、そしてほのかに漂うサイケデリック・ロック感が絶妙なバランスで配合されたなんとも言いようのない良さが魅力だ。
どこか懐かしさも感じさせるその曲調は、例えばヤエル・ナイムのように大企業のCMにでも採用されれば一気に大ブレイクしそうな気配がある。
全12曲収録の『Cayó el Valiente』は、全てマリアナ・ミチの作詞作曲。
捨て曲などひとつもない。(3)「Marino」や(6)「Las Cuerdas」のメロディも絶品だし、アカペラで歌われる(9)「Ahí Vive」も良い。アルバムの幕を開く打ち込みも駆使した(1)「Ruidos Programados」も印象的だ。
アメリカ合衆国のSSWでエイミー・マン(Aimee Mann)という人がいて、若い頃彼女の作品(『Bachelor No. 2』だったと思う)がなぜだか分からないが大好きで繰り返し聴いていたのだが、同じようなダークな魅力をこのマリアナ・ミチからも感じる。
複数のジャンルに跨って活躍するマリアナ・ミチ
私がこのアーティストを動画で初めて観たとき、彼女はOchoというバンドで全裸で歌っていた。
それ以来、この表現家の魅力に取り憑かれてしまったようだ。
マリアナ・ミチは前述のようにソロ活動以外にも複数のバンドに在籍し活躍している。それぞれジャンルはバラバラだ。
アコースティックなチロ・イ・ランダ(Chilo y Landa)。
ジャズのミャウ・トリオ(Miau Trío)。
パンクロックのムグレ(Mugre)
そして実験的なジャンルレスバンド、オチョ(Ocho)。
それぞれの楽曲を聴いてみるとその多彩さに驚かされるが、この経験こそが彼女の強みなのだろう。しかもこれらのどれを聴いても、マリアナ・ミチの存在感は圧倒的で唯一無二のものだ。
はたしてこのアーティスト、日本で注目している人が他にいるかな…と思い、Twitterで「Mariana Michi」に関する日本語のツイートを検索したら、唯一、ご本人のアカウントによるこんなツイートがヒットした──。
ぜひ、日本に来てください!
日本に行きたい
— Mariana Michi (@michi_mariana) May 15, 2019
Foto por Lucía De La Torre, tocando la música de @NahuelBriones el jueves pasado 🧚🏻♀️ pic.twitter.com/8tVDRJvlG9