目が回る楽しさ!イスラエルジャズ×NYのカオスなフュージョン『Kenner』デビュー盤

Kenner - 8Ball City

イスラエル出身、NYで活動する鍵盤奏者、Eitan Kener

鍵盤奏者/作曲家のエイタン・ケネル(Eitan Kenner)率いるバンド、ケネル(Kenner)のデビュー作『8Ball City』は目が回りそうになるほど楽しい作品だ。

エイタン・ケネル(Eitan Kenner)はイスラエル生まれで、バークリー音楽大学を卒業後はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動している。ジャンルに囚われない音楽を信条としており、このデビュー盤でもフュージョン/プログレを基調としながら電子音も大胆に混ぜ込むなど、音楽の坩堝のようなサウンドに心が踊る。

共演者もテクニシャン揃いで、ドラムスのノーム・イスラエリ(Noam Israeli)、ギターのニツァン・バール(Nitzan Bar)、サックス奏者ヨナタン・グリーンステイン(Jonathan Greenstein)といった勢いのあるイスラエル勢を中心に怒涛のアンサンブルを聴かせる。

アルバムにはさらにポール・サイモンやハービー・ハンコック、ヨーヨー・マらとの共演で知られるパーカッショニスト、ジェイミー・ハダッド(Jamey Haddad)とNYの人気ジプシージャズバンド、New York Gypsy All-starsで活躍するトルコ出身のカーヌーン奏者、タメル・ピナルバシ(Tamer Pinarbasi)がゲストで加わり、サウンドに彩りを添えている。

アルバムには2016年から翌17年にかけてブルックリンとイスラエルで録音された全12曲を収録。とにかく全曲が驚くべきクオリティだが、まずはこの記事内で紹介するMVの3曲をおすすめしたい。

変幻自在のリズムに絡む電子音も新鮮な(1)「8Ball City」のMV。
ギターにニツァン・バールを擁した強力布陣のバンド演奏も見所。
アルトサックスのクレイ・ライオンズ、トランペットのウェイン・タッカーは共に米国出身で、彼らもまたNYシーンで注目される若手だ。
(3)「Candyland」のMV。
この少し懐かしい感じもするTVゲーム的電子サウンドはアルバム全体に散りばめられており、ひとつのコンセプトのようになっている。

(6)「Toy Soldiers」は全編にわたってカーヌーンの煌びやかな音色が印象的だ。

間奏曲的に挟まれる(5)「Press Start to Play」と(9)「Play / Sad Mario」はTVゲームからの影響と思われる小曲だが、電子音を盛大にフィーチュアしつつ後者ではボル(インドの口タブラ)が最高に濃く絡み合うという抜群なユーモアセンスも堪らない。

エイタン・ケネルは過去にもニューヨークの地下鉄のアナウンスを曲にした『Tracksounds』(2015年)や、よりプログレッシヴ・エレクトロニカな『How to Make Hummus in 6 Steps』といったクレイジーなシングルもリリースしている。これだけのクオリティを見せつけられると、今後も要チェックなアーティストであることは間違いない。

(2)「Janelle」のMVはアルバムジャケットを描く過程を短縮したスピードドローイング動画となっている。

Eitan Kenner – piano, Rhodes, organ, synth
David Frazier Jr. – drums
Noam Israeli – drums
Diego Joaquin Ramirez – drums
Tamir Shmerling – bass
Andrew Whitbeck – guitar, bass
Nitzan Bar – guitar
Clay Lyons – saxophone
Jonathan Greenstein – saxophone
Wayne Tucker – trumpet

Guests:
Tamer Pinarbasi – qanun
Jamey Haddad – percussion

Kenner - 8Ball City
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