ストラトキャスター一本で勝負を続ける注目のジャズギタリスト
今最も注目されるジャズギタリスト/作曲家、ニア・フェルダー(Nir Felder)による自身のリーダー作としては2枚目となるアルバム、その名も『II』がリリースされた。2014年の『Golden Age』以来、実に6年ぶり。
アルバムはベースのマット・ペンマン(Matt Penman)、そしてドラムスのジミー・マクブライド(Jimmy MacBride)とのトリオ編成で録音されているが、(1)「The Longest Star」や(6)「Big Swim」に見られるようにアコースティックギターやバンジョー、シンセサイザーなどが多重録音されるなどスタジオライヴ録音後のポストプロダクションを含めて多大な時間が費やされ、即興音楽の域に止まらない高い完成度になっている。
ニア・フェルダーのギターは今作でもウネウネとした不思議なフレーズが最高に心地よく、絶妙なエフェクター使いも含め大好きな音だ。カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)やギラッド・ヘクセルマン(Gilad Hekselman)といった近代のジャズギターの潮流が好きな方なら間違いなくハマる音だと思う。時折デヴィッド・ フュージンスキー(David Fiuczynski)ばりの変態的フレーズも飛び出したりして飽きさせない。
ニア・フェルダー(Nir Felder)は1982年、米国ニューヨーク州出身。2005年にバークリー音楽大学を卒業し、グレッグ・オズビー(Greg Osby)、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)、エスペランザ・スポルディング(Esperanza Spalding)、マーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)、ジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette)、ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau)など数多くのミュージシャンとの共演を重ね、ロックミュージックから多大な影響を受けた独創的なギタープレイで徐々にその名を売っていった。
現在も愛用しているギターは13歳の時に250ドルで買ったというメキシコ製のフェンダー・ストラトキャスター(今作のジャケットにもしっかりと写っている)。
ジャズをやり始めた頃は周囲から「そのギターではジャズはできない」と言われたこともあったようだが、彼は購入後25年の歳月を経た現在もこのギターを録音でもライヴでもメインで使い、独自の音楽を表現し続けている。
Nir Felder – guitar
Matt Penman – bass
Jimmy MacBride – drums