新世代ピアノトリオ筆頭格、ゴーゴー・ペンギン。三位一体のグルーヴが強力に渦を巻く

ゴーゴー・ペンギン - GoGo Penguin

新世代ピアノトリオの最高峰、ゴーゴー・ペンギン最新作

英国マンチェスター出身の3人組、ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)が通算5枚目のフルアルバムにして、なんと自身のバンド名を冠した作品をリリースした。

当初2020年5月1日にリリースが予定されていながら、発売が延期となっていた今作『GoGo Penguin』。2012年のデビュー以来、現代ジャズ/ポストロックシーンの常に先頭を走ってきた彼らの集大成的な音楽だ。もう、誰が聴いてもかっこいいと思う音なのではないだろうか。

ピアノ、ダブルベース、ドラムスというオーソドックスなジャズのピアノトリオから生み出される彼らの音はいつ聴いても驚きに満ちている。強力に渦を巻くようなグルーヴ。(1)「1_#」の雑踏を抜ければ、次のトラックからは知的好奇心を刺激する音の嵐の中心に放り込まれる。

空間的な音響処理も施された(3)「Signal In The Noise」は今作の象徴的な楽曲だ。ミニマルミュージックの美学、ジャズの哲学、ロックのパワー。そして繊細なエレクトロニカはこれらの表現力を拡張する。

(5)「F Maj Pixie」は一見変拍子風なピアノのシーケンスだが、ドラムが入ってきて実は普通の4拍子なのだと気づく。“Fメジャーの妖精”の曲名通り、いたずらな妖精が舞い踊るさまが目に浮かぶ。

(5)「F Maj Pixie」のライヴ演奏。

続く(6)「Kora」は文字通り西アフリカの民族楽器「コラ」を模したプリペアド・ピアノ(グランドピアノの弦に様々なものを乗せて音色を変化させたピアノ)の音色が印象的な楽曲。

(6)「Kora」のライヴ演奏。

ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)はピアノのクリス・イリングワース(Chris Illingworth)、ベースのグラント・ラッセル(Grant Russell)、ドラムスのロブ・ターナー(Rob Turner)によって2009年にマンチェスターで結成されたピアノトリオ。ジャズ、ロック、ミニマルミュージック、エレクトロニカなどを大胆に組み込んだ斬新なサウンドで2000年代以降の“新世代ピアノトリオ”の筆頭格である。

2012年の地元マンチェスターのレーベルからデビュー作『Fanfares』をリリース。その後2013年にベースがニック・ブラッカ(Nick Blacka)に交代しリリースした2nd『v2.0』(2014年)はイギリスの権威ある音楽賞のマーキュリー・プライズにノミネートされるなど世界的に話題となった。これが契機となり、ジャズの名門ブルーノート・レコードと契約。以降も話題作を次々とリリースしている。

楽曲はすべてオリジナルで、作曲者にはメンバー3人の名前がクレジットされている。

通算5作目にして初のセルフタイトルの覚悟は、やはり並大抵のものではない。

GoGo Penguin :
Chris Illingworth – piano
Nick Blacka – bass
Rob Turner – drums

ゴーゴー・ペンギン - GoGo Penguin
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