ドラマー率いる北欧ピアノトリオ、孤高なる深淵に到達した新譜『Entering the Woods』

Emil Brandqvist Trio - Entering the Woods

人気ピアノトリオ、Emil Brandqvist Trio 新譜

スウェーデンのドラマー/作曲家が率いる人気ジャズトリオ、エミール・ブランドクヴィスト・トリオ(Emil Brandqvist Trio)の2020年最新作『Entering the Woods』
通算5作目となる今作はこれまでもその叙情的な表現力で人気を博してきたトリオが、より孤高なる深淵に到達した傑作だ。

アルバムは(2)「Unbreakable」のみピアニストのツォーマス・トゥルネン(Tuomas Turunen)の作曲で、ほか12曲は全てバンドリーダーでありドラム奏者のエミール・ブランドクヴィスト(Emil Brandqvist)の作曲。アルバムはドラマーの作曲と聴いてイメージされがちな曲調を良い意味で裏切ってくれる、ピアノ主体の叙情豊かな北欧ジャズの鑑のような音楽が展開される(ブランクヴィストは、作曲するときにはピアノを使うようだ)。

イタリアの巨匠エンリコ・ピエラヌンツィを思わせるような短調の美しい曲から、同郷スウェーデンのエスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)の影響を伺わせるものまで多彩だが、散漫さはなく統一された寒色系の色彩感が支配する。何曲かではゲストミュージシャンも参加しておりアルバムの独特の世界観に深みをもたらしている。

(6)「The Woods」のMV。
意味深な物語の、影絵のようなアーティスティックなアニメに心を打たれる。
ゲスト参加のリサ・ラングバッカ(Lisa Långbacka)のアコーディオンも美しい。
(3)「From Now On」のMV。
思慮深く紡がれるひとつひとつの音。

エミール・ブランドクヴィスト(Emil Brandqvist)は1981年生まれ、スウェーデンの人口第2の都市ヨーテボリ出身。2012年にはスウェーデンの長編映画『Bloody Boys』と『Vägen Hem』の映画音楽を担当。フィンランド出身のピアニスト、ツォーマス・トゥルネン(Tuomas Turunen)とスウェーデン出身のベーシスト、マックス・ソルンベルグ(Max Thornberg)とトリオを結成し、2013年に弦楽四重奏も加えた『Breathe Out』でデビューした。

2016年作『Falling Crystals』より、(6)「Longing」のMV。
音楽の美しさもさることながら、映像表現にも魅入ってしまう。

Emil Brandqvist Trio :
Emil Brandqvist – drums, percussion, glockenspiel, synths
Tuomas Turunen – piano, pump organ, celesta, Wurlitzer
Max Thornberg
– bass

Guests :
Lisa Långbacka – accordion
Martin Brandqvist – flute, bass clarinet
Johan Asplund – flugelhorn

Emil Brandqvist Trio - Entering the Woods
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