ターニャ・アイヤー、それはバンド名であり個人名
ヴォーカルのターニャ・アイヤー(Thanya Iyer)を中心とするカナダのスリーピースバンド、Thanya Iyerの音楽は実験的でありながら穏やかな聴き心地があり、懐かしさと新しさの不思議な感覚を併せ持つ。
一部では「フューチャー・フォーク(Future-Folk)」とも表現されるほどに斬新なサウンドの2020年の新譜『Kind』は全11曲を収録。飾らない美しさを持つターニャ・アイヤーの声と、センスの塊なエレクトリックサウンド、そしてハープやトランペット、サックスといった多彩なゲストの参加。どの曲も3分半〜4分半の適度な尺に収められており、目まぐるしく移ろうアルバム全体の豊かな色彩感がとても素敵だ。
このバンドの魅力は間違いなくターニャ・アイヤーの声と、好奇心に満ちた実験的なサウンドだ。その真価が発揮される(3)「My Mind Keeps Running」の類稀な美しさは背筋がゾクゾクするほど。
ターニャ・アイヤーはこのアルバムのコンセプトを「私たちが経験する変化と、私たちが一生を通じて学ぶ教訓について」と語る。
(1)「I Woke Up」から始まるアルバムの曲には連続性もあり、これはぜひ1曲目からじっくりと全編を通して聴いていただきたい。(8)「Let the Smoke Clear」の次に出会うものが(9)「Alien」という発想も凄い。
音楽と、それに付随する感情の無限の広がりと可能性を信じさせてくれる素晴らしい作品だと思う。
Thanya Iyer を構成する3人──ヴォーカルとキーボード、ヴァイオリンを担当するターニャ・アイヤーと、ベースのアレックスは音楽学校からの10年来の仲間。ドラムスのダニエルとはストリートで出会ったという。
2016年にアルバム『Do You Dream?』でデビュー。今作『Kind』は待望のセカンドアルバムとなっている。
Thanya Iyer :
Thanya Iyer – voice, synth, violin, piano
Alex Kasirer-Smibert – bass, percussion, synth, voice
Daniel Gélinas – drums, drum machine, percussion, voice
Guests :
Shaina Hayes – voice (4, 5)
Simon Millerd – trumpet (2, 5, 6, 7, 8)
Emilie Kahn – harp (2)
Frédérique Roy – accordion, voice (6)
Devin Brahja Waldman – saxophone (2, 3, 6)
Felix Del Tredici – trombone (2, 6)
Anh Phung – flute (3, 6, 11)
Scott Bevins – trumpet, electronics (10)
Mawmz Plus Choir (Shelby Cohen, Corey Gulkin, Emilie Kahn, Brigitte Naggar, Sarah Rossy, Tamara Sandor) – chorus (7, 9)