卓越した西ギタリスト、ホセ・アントニオ・ロドリゲス。多様な魅力が凝縮された新譜

José Antonio Rodríguez - McCadden Place

コンテンポラリー・フラメンコの魅力が詰まった一枚

スペイン・コルドバ出身のギタリスト/作曲家ホセ・アントニオ・ロドリゲス(José Antonio Rodríguez)の新譜『McCadden Place』は、各国から多数のゲストを迎え、フラメンコを軸に多様な表現を試みた、近年の充実するコンテンポラリー・フラメンコシーンの中でも相当にクオリティが高い一枚だ。
優れたオリジナル曲も、センスの良い選曲のカヴァーもバランス良く収録し、彼の卓越したギター演奏も存分に堪能できる内容になっている。

(6)「No Es Lo Mismo」はスペインの人気SSW、アレハンドロ・サンス(Alejandro Sanz)の2003年の大ヒット曲だが、このオリジナルでギターを弾いていたのがホセ・アントニオ・ロドリゲスだ。今作収録のカヴァーでは多数の人気歌手を迎え、アルバムのハイライトとなる素晴らしい演奏を聴かせる(正直、原曲よりこちらの方がずっと良い)。

SSWアレハンドロ・サンスのヒット曲のカヴァー、(6)「No Es Lo Mismo」

(2)「Adiós Muchachos」ではキューバを代表するバンド、イラケレ(Irakere)でも活躍した伝説的トランペッター、アルトゥーロ・サンドヴァル(Arturo Sandoval)が参加。優しく温かなトランペットの音色と、ホセ・アントニオの卓越したギターとの絡みが最高に心地良い。

キューバのトランペット奏者、アルトゥーロ・サンドヴァル(Arturo Sandoval)を迎えた(2)「Adiós Muchachos」。

デイヴィッド・フォスター(David Foster)作曲の(11)「St. Elmo’s Fire」では映画『セント・エルモス・ファイアー』(1985年)でオリジナルを歌った英国歌手、ジョン・パー(John Parr)がゲスト参加。少し枯れた彼の声が、フラメンコ・ギターの力強い弦の響きとよく合う。

イギリスの歌手、ジョン・パー(John Parr)をフィーチュアした(11)「St. Elmo’s Fire」

ブラジルの女性エレクトリック・ギタリスト、ラリ・バシリオ(Lari Basilio)参加の(8)「Macarron Fly」は打ち込みのビートに乗せてサンタナを思わせるような泣きのギターが炸裂。

(12)「Catalina’s Song」ではフラメンコ・ギタリストのホルヘ・ストルンツ(Jorge Strunz)をフィーチュア。2本のギターで交互にソロをとる構成になっている。

エリック・クラプトンの人気曲カヴァー(5)「Tears in Heaven」も訴求ポイントのひとつだ。

(5)「Tears in Heaven」はエリック・クラプトンの人気曲カヴァー。

ホセ・アントニオ・ロドリゲス略歴

ホセ・アントニオ・ロドリゲス(José Antonio Rodríguez)は1964年生まれのフラメンコ・ギターの第一人者。81年にラ・ウニオン、翌82年にヘレスでのコンクール優勝など、数々のギターコンクールで受賞を続けた。
84年にコルドバ音楽院フラメンコギター科を卒業し、そのまま同校で最年少のギターの教授に就任。88年に最初のソロアルバムをリリースしている。

90年代にはカルロス・サウラの映画『フラメンコ』(1995年)への出演や、ロス・デル・リオ(Los del Rio)のヒット曲「La Macarena」など数々のレコーディングに参加するなど、国際的にもその名声を高めていった。

演奏スタイルはパコ・デ・ルシアやビセンテ・アミーゴら同郷のスターにも通じるコンテンポラリー・フラメンコで、伝統的なフラメンコギター奏法に根ざした堅実で力強い演奏と、他ジャンルも積極的に取り入れた多彩な音楽性が魅力。

José Antonio Rodríguez - McCadden Place
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