NYジャズの中心で活躍するヴァイオリニスト大村朋子、日本民話をテーマに描く刺激的なアルバム

Tomoko Omura - Branches Vol. 1

大村朋子の新作のテーマは“日本昔話”

静岡県出身、現在ニューヨークを拠点に活動するジャズ・ヴァイオリニスト大村朋子(Tomoko Omura)の新譜『Branches Vol. 1』には、日本に古くから伝わる民話にインスパイアされた全6曲が収録されている。

前作『Roots』(2015年)は「荒城の月」「てぃんさぐぬ花」「ソーラン節」など日本古謡をジャズに昇華し話題となった作品だったが、今回もアメリカに暮らす日本人としての自身のルーツを強く意識し、表現したものになっている。

(3)「Revenge Of The Rabbit」のMV。
日本人なら馴染み深い物語が巻物風に進行する映像にも見入ってしまう。

今作はクインテット編成。ヴァイオリンの大村朋子のほか、彼女の夫でもあるピアニストのグレン・ザレスキー(Glenn Zaleski)、ギターにジェフ・マイルス(Jeff Miles)、チリ出身のベース奏者パブロ・メナレス(Pablo Menares)、そしてドラムスのジェイ・ソウヤー(Jay Sawyer)といういずれもNYのジャズシーンで中核を成すプレイヤーたちが参加。クラシックの素養を感じさせる大村のヴァイオリンやグレン・ザレスキーのピアノに対し、ジェフ・マイルスのギターはロックからの影響も色濃く見えるなど、面白い化学反応があるバンドだ。

(3)「Revenge Of The Rabbit」の演奏動画(メンバー構成はアルバム収録版と若干異なる)。
日本音階を用いた冒頭のテーマ部分がおもしろい。

各楽曲のアイディアの源泉になっている物語は、(3)「Revenge of the Rabbit」が「かちかち山」、(4)〜(5)「Return to the Moon」が「かぐや姫」。
では(2)「Three Magic Charms」は一体なんの物語だろう、と調べてみたら、東北地方の昔話「三枚のお札」とのこと。このお話は知らなかった。

アルバムのラストを飾る(6)「Konomichi」の原曲は山田耕作作曲の「この道」。
大村朋子による大胆なアレンジが加わっていても、この匂いにはどこか懐かしさすら感じる。

Tomoko Omura – violin
Jeff Miles – guitar
Glenn Zaleski – piano
Pablo Menares – bass
Jay Sawyer – drums

Tomoko Omura - Branches Vol. 1
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