バジ・アサド、レニーニやビュークのカヴァー含む“歌とギター”新譜

Badi Assad - Around the World

驚異的なギタリスト/シンガー、バジ・アサド新譜『Around the World』

ブラジルのギタリスト/SSWのバジ・アサド(Badi Assad)の新譜『Around the World』は、そのタイトルが示す通り世界中の音楽に挑戦した意欲的な作品。全編ギターと歌だけという非常にシンプルなものだが、変化に富んだ流石の表現力で虜になってしまう作品だ。

アルバムには自作曲のほか、ブラジルを代表するSSWレニーニ(Lenine)の(2)「Acredite Ou Não」、アイスランドのスター、ビョーク(Björk)の(3)「Bachelorette」、10拍子のエジプト古謡(6)「Lamma Bada」、チリのSSWカミラ・モレーノ(Camila Moreno)の(7)「Millones」、アイルランドのSSWホージア(Andrew Hozier Byrne)の(9)「Sedated」といった各国の音楽のカヴァーが収録されている。

ギター演奏のスタイルも曲によって様々に変え、彼女の特長でもあるヴォイス・パフォーマンスと相まって個性的な世界観を提示。たったひとりでの演奏ながら、強烈な印象が残るアルバムになっている。

意外性のあるカヴァー曲がどうしても目立ってしまうが、自作曲の(4)「O Barco Daqui De Dentro」などは、その個性的な才能を充分に堪能できる傑作。

ビョークの(3)「Bachelorette」を演奏するバジ・アサド。

バジ・アサドは1966年サンパウロ生まれ。主にクラシックの分野で活躍するセルジオ・アサドとオダイル・アサド(アサド兄弟)は実兄。
レバノン系移民であり、ショーロのバンドリン奏者だった父は著名なアルゼンチン人ギター奏者モニーナ・タヴォラからアサド兄弟にギターを習わせるため、1969年に家族を連れてリオデジャネイロに引っ越している。

バジ・アサド自身も幼少時から父や兄の影響でギターを始めており、リオデジャネイロ大学ではクラシックギターを専攻。1984年にリオデジャネイロで開催された器楽のコンクールで優勝、以降は米国の雑誌『ギター・プレイヤー』が世界に革命をもたらすギタリストとして彼女を選出するなど、ブラジルでもっとも優れたギタリスト/ヴォイスパフォーマーとして今日まで活動している。

Badi Assad – guitar, vocal

Badi Assad - Around the World
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