古き良きブラジリアン・ロックが蘇る!“ミナス新世代”オクタヴィオ・カルドーゾ新譜

Octavio Cardozzo - Tá Todo Mundo Mal

ブラジル音楽の“カンブリア紀”が蘇るような傑作『Tá Todo Mundo Mal』

2017年のデビュー作『Âmago』が高く評価されたブラジル・ミナス出身のシンガーソングライター、オクタヴィオ・カルドーゾ(Octavio Cardozzo)待望の2枚目のスタジオアルバム!
今作『Tá Todo Mundo Mal』はベースにカミラ・ホーシャ(Camila Rocha)、ドラムスにガブリエル・ブルース(Gabriel Bruce)、ギターにPCギマランエス(PC Guimarães)という前作にも参加していたメンバーを軸に、いくつかの曲ではゲストが参加。

タイトル曲(2)「Tá Todo Mundo Mal(みんな悪い)」では、“この国ではもう幸せになれない”“民主主義は毎日少しずつ死んでいく”と半ば諦めたように歌われる(この曲は2016年のジルマ・ルセフ大統領の弾劾裁判に際して書かれたものだが、その歌詞の内容は今の時代でもどうやら有効なようである)。ジャケットにCGで描かれた浸水した室内のイメージは、今の時代の閉塞感や溺れるような息苦しさを表しているが、よく見ると同時に窓の外にはよく晴れた空が広がり、より良い日々への希望がまだあることが示されている。

アルバムには終始古き良きロックやブルースの香りが流れる。それでも(3)「Convite」にはフォホーやバイアォンのエッセンスがあるし、どこから聴いても不思議なほどにブラジル的な音楽だ。ギターもベースもドラムスも、とにかく音作りの敢えて狙った“古さ”がいい。少し前に60〜70年代を完璧に再現したイスラエルのクレイジーなバンド、ウジ・ナボン&アクウェインタンセズを当サイトで紹介したが、勿論彼らほど尖ってはいないもののサウンドには原点回帰的な共通の傾向を感じる。ブラジルの70年代といえば、ちょうどカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルの全盛期。UKロックとブラジル伝統音楽が混交した、いわばブラジル音楽のカンブリア紀の空気だ。

(9)「Bad In Bahia」
ミナスの女性SSW、ルイーザ・ブリーナがゲスト参加している。
ノスタルジーに包まれる(7)「Seu Olhar」のMV。

Octavio Cardozzo – vocal
Camila Rocha – bass
Gabriel Bruce – drums
PC Guimarães – guitar

Guests :
Hélio Flanders (Vanguart)
Luiza Brina
Lamparina e A Primavera

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