ロナ・ケナン、独自の世界観を英語詞で表現した新譜
イスラエルを代表するシンガーソングライターのロナ・ケナン(Rona Kenan, ヘブライ語:רונה קינן)の7枚目のアルバム『Light Sleeper』がリリースされた。これまでの作品とは異なり初めて全編英語で歌われる今作は、西洋のロックをベースとしながら随所にジューイッシュ/中東の音楽のエッセンスがまぶされた良質で洗練された作品に仕上がっている。
今作には新曲と、過去作を英語で収録し直した楽曲を収録。
(1)「4AM」、(2)「The Teacher」など、冒頭からロックやブルースの分かりやすい青さをベースとしつつ、中東的な旋律を重ねた音楽は、なかなか他では聴くことのできない斬新さがある。
生演奏だけでなくプログラミングでの強烈なビートを備えた表現も披露されており、(4)「Your Perfume」や(5)「Light Sleeper」などシンセ音色のセンスには若干懐かしさも感じさせつつ、生演奏とのバランスの良いハイブリッドなサウンドが気持ちいい。
アルバムの共同プロデューサーにはバルカン・ビート・ボックス(Balkan Beat Box)のタミル・マスカット(Tamir Muskat)、そして T-Slamのイザール・アシュドット(Izhar Ashdot)もクレジットされている。
ロナ・ケナンは1979年、イスラエル・テルアビブに生まれた。幼少時から音楽に惹かれギターを演奏。テルマ・イェリン国立芸術高等学校で演劇を学んだが、卒業後は音楽に専念し2004年に『Linshom Besfira Leahor』でアルバムデビュー。2005年には同性愛者であることも告白するなど、LGBTのコミュニティにおけるアイコン的な存在にもなっている。
彼女の父は小説家/劇作家/画家/彫刻家などとして著名なアモス・ケナン(Amos Kenan, 1927 – 2009)で、2009年の3rdアルバム『Shirim Leyoel』はその父の人生を題材にしている。
Rona Kenan – vocals, electric and acoustic guitars, omnichord, harmonica, prepared piano, synths
Izhar Ashdot – modular synths, synth bass, baritone guitar, acoustic guitar, sequencing, programming
Tamir Muskat – drums, percussion, programing
Shacham Ohana – bass (1, 2, 3, 5, 7, 9)
Peter Roth – bass (10)
Yonatan Daskal – synths, piano (2, 5)
Adi Rennert – piano (3, 9)
Rony Iwryn – percussion (7)
Eran Weitz – electric guitar (5), Banjolele (9)
Ilai Ashdot – overtone guitar (1)
Yael Deckelbaum – backing vocals (2, 8)
Daniel Rubin – backing vocals (2, 8)
Maya Belsitzman, Galia Hai, Guy Figer, Gilad Hildesheim – strings (1, 9)