若干20歳、トルコの新鋭クラリネット奏者 Onur Çalışkan デビュー作
クラリネットというお馴染みの楽器の、驚きに満ちた新たな可能性を知りたければ、トルコの若きクラリネット奏者オヌール・チャリスカン(Onur Çalışkan)のデビューアルバム『Esrik』(2020年)をぜひおすすめしたい。
(1)「Dımbıllı」から、微分音を駆使した不思議な旋律のクラリネットの音色を聴くことができる。
彼が使っている楽器は“ターキッシュ・クラリネット”と呼ばれるもので、西洋音楽にはない微分音(半音をさらに細かく分けた音程)を表現できるようにアラブ音楽圏で発展したもの。クラリネットの盛んなトルコでは広く演奏されている楽器だ。現代的なエレクトリック・ピアノ、ベース、ドラムスで編成されたジャズバンドの中で、このクラリネットが奏でる異国情緒溢れる音は特異な存在感を放つ。(4)「Matrak」などは特にエキゾ感が全開で、パーカッションやブラスのゲスト参加も楽しいトラックだ。
アルバムにはなんと3度のグラミー賞受賞を誇るスナーキー・パピー(Snarky Puppy)のリーダーでベーシストのマイケル・リーグ(Michael League)も参加。他にもトルコ随一の鍵盤奏者チャグリ・セルテル(Çağrı Sertel)が随所で耳惹かれるプレイを見せるなど、将来を嘱望される新世代クラリネット奏者を強力にサポート。
世界各地からその地方の伝統音楽の色を出しつつ国境を超える音楽が続々と出てくる現代のジャズシーンの中で、中東の要所トルコからかなり楽しみな逸材が登場した。
若干20歳、トルコの新星クラリネット奏者
オヌール・チャリスカンは2000年にトルコの首都イスタンブールに生まれた。10歳からクラリネットをはじめ、2013年にイスタンブール・クラリネット・フェスティバルで開催されたコンペティションで1位を獲得。イスタンブールの音楽・舞台芸術高校で学びながら、スペインやベルギーでも演奏をするなど次第に活躍の幅を広げている。
2017年から制作の準備が始まったという今作『Esrik』を2020年前半にリリース、12月には最新シングル『Gemi』をリリースしている。
Onur Çalışkan – clarinet, bass clarinet, alto saxophone
Çağrı Sertel – piano
Ediz Hafızoğlu – drums
Michael League – electric bass
Volkan Hürsever – contrabass
Cenk Erdoğan – electric guitar
Efe Demiral – electric guitar, classical guitar
Mehmet Akatay – percussion
Metehan Dada – vocal
Tarık Aslan – erbane
Murat Tırnak – kaval, zurna
Burak Dursun – trumpet, trombone
Tamer Temel – tenor saxophone
Altay Acar – trombone