イスラエル発、Baba Ganesh デビューEP
インド音楽から大きな影響を受けたイスラエルの6人組バンド、ババ・ガネーシュ(Baba Ganesh)がとても面白い。彼らは2020年にデビューEP『Masala』をリリースしている。
バンドはサックス、トランペット、バンスリ(インド発祥の木管楽器)、ドラムス、パーカッション、ディジュリドゥー(オーストラリアのアボリジニの民族楽器)というなかなか珍しい編成で、サウンドにもクロスジャンルな無国籍感が漂う。
バンド名はレバント地方(地中海東部沿岸一帯)などで食されている伝統料理ババ・ガヌーシュ(Baba Ganoush)と、ヒンドゥー教の神様ガネーシュ(ガネーシャ)を組み合わせたもので、中東音楽とインド音楽を折衷した彼らの音楽性を端的に表すネーミングだ。
そしてやはり面白いのが、ここに何故かディジュリデドゥーが加わっていることで、この楽器の存在がバンドの個性を引き出していると同時に、音程感のある低音が楽曲をほぼワンコードで進行させる要因(良くも悪くも)にもなっている。ディジュリドゥー奏者のボアズ・アティアス(Boaz Attias)はOudiniというバンドでも活躍するヴァイオリンやウードも演奏するマルチ奏者だが、Baba Ganesh ではディジュリドゥーに専念しているようだ。
バンドの楽曲はすべてドラマーのリゲフ・バルフ(Regev Baruch)が作編曲を行っており、彼が実質リーダーなのだろう。
ダヴィド・ダグミ(David Dagmi)の演奏するアラブ・パーカッションもバンドの無国籍感を強調する大きなカギだ。
紅一点のバンスリ奏者リリー=アン・ベザレル(Lilly-Ann Bezalel)は元々は西洋クラシック音楽を学んだフルート奏者のようだが、ここではインドの横笛バンスリ(インドではこの楽器は“フルート”と呼ばれている)を演奏しており、ジャズの素養もあり即興もとてもハイレベル。
ユニークなコンセプトとメンバー全員の即興演奏のレベルの高さで、とても楽しいバンドだ。
Baba Masala :
Regev Baruch – drums, composition, arrangement
Madhav Haridas – saxophone
Itamar Ben Yakir – trumpet
Lilly-Ann Bezalel – bansuri
David Dagmi – percussion
Boaz Attias – didgeridoo