ブラジル/現代JAZZの音の坩堝。リオの奇才アントニオ・ネヴィス新譜が凄まじい

Antônio Neves - A Pegada Agora É Essa

マルチ奏者アントニオ・ネヴィス新譜は素晴らしくカオスな大傑作

ブラジル・リオデジャネイロ出身のマルチ奏者/作曲家、アントニオ・ネヴィス(Antônio Neves)の2ndとなる新譜『A Pegada Agora É Essa (The Sway Now)』は、この奇才が現在のリオデジャネイロのジャズシーンのトップランナーであることを思い知らされる必聴盤だ。

叫び声とコミカルな口琴で始まる(1)「Simba」からそのあまりに先の読めない混沌とした展開に脳を激しく揺さぶられる。なんというカオス。そしてなんという格好よさ!
サウンドに軸にあるのはアントニオ・ネヴィス自身によるドラムスとトロンボーン、そしてギターのグス・レヴィ(Gus Levy)、ピアノのエドゥアルド・ファリアス(Eduardo Farias)、ローズピアノのルイス・オタヴィオ(Luiz Otávio)、それにバスクラリネットのジョアナ・ケイロス(Joana Queiroz)といった豪華な面々だ。ウッドベースは太く重くうねり、生と電気の2台の鍵盤は蛇のように絡み合い、さらにいくつものパーカッションが激しく降るスコールのように音を叩きつける。ヴォイスや効果音の類いも完璧で、最上級の褒め言葉をひとこと言うとするならば“クレイジー!”なやつである。

今作ではアントニオの父エドゥアルド・ネヴィス(Eduardo Neves)やアミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)、レオ・ガンデルマン(Leo Gandleman)といったベテラン勢からアリーシ・カイミ(Alice Caymmi)、アナ・フランゴ・エレトリコ(Ana Frango Elétrico)など新進気鋭のアーティストまでが幅広く参加。他にも多数の音楽家が参加しており、本記事末尾にも記載したが総勢20名以上のクレジットを眺めるのも楽しい。

収録曲にはオリジナルの他、ネルソン・カヴァキーニョ作の(4)「Luz Negra」、ジョージ・ガーシュウィンの(7)「Summertime」といったカヴァーもあるが、これらも完全にアントニオ・ネヴィス色に染まりアルバムに溶け込む。パルチード・アウトやジョンゴといったブラジルの伝統的なリズム、アフロ・ブラジル文化とジャズの自由な交わりに興奮せずにはいられない。2021年のブラジリアン・ジャズの傑作の誕生だ。

(2)「A Pegada Agora É Essa」
(1)「Simba」

Antonio Neves – drums, trombone, voice (7), guitar (1)
Eduardo Farias – piano
Gus Levy – electric guitar
Joana Queiroz – bass clarinet

Luiz Otávio – Rhodes

Alberto Continentino – double bass (1, 4, 5, 6, 7)
Alice Caymmi – voice (3)
Ana Frango Elétrico – voice (4)
André Vasconcellos – double bass (1, 2, 3, 8)
Eduardo Neves – flute (8)
Eduardo Santana – trumpet (8)
Filipe Castro – percussion (3)
Hamilton de Holanda – bandolim (5)
Leda – voice (1)
Leo Gandelman – alto sax (6)
Lucas Videla – percussion (1, 7)
Marcelo Costa – percussion (6)
Marcos Alcides Filho – percussion (2)
Marcos Alcides “Esguleba” – voice (2), percussion (2)
Roque Miguel – percussion (5)
Thiago da Serrinha – percussion (4, 8)
José Castro, Rudah Guedes, Eduardo Santana, Antonio de Moraes Neves, Gus Levy e Gabriel Ballesté – backing vocals (1, 8)

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