バークリー音大出身の気鋭奏者たちが集う注目のバンド、クロスウォーク・アナーキー

Crosswalk Anarchy - Composite

バークリー音大出身者たちによるジャンルレスなバンド

ボストンのバンド、クロスウォーク・アナーキー(Crosswalk Anarchy)が面白い。
鍵盤奏者/作曲家のエヴァン・ワーラマー(Evan Waaramaa)を中心とする5人組で、2019年にアルバム『Composite』でデビュー。
ジャズ、ロック、ヒップホップ、R&Bなどに影響されたサウンドで、アルバム収録曲のジャンルも多岐にわたる。バークリー音楽大学出身者を中心に構成されており音楽性や演奏のレベルも非常に高く、興味深いバンドだ。

ヴォーカルは韓国出身の女性シンガー、ソン・イ・ジョン(Song Yi Jeon)がほとんどの曲で担当。彼女はソロアルバム『Movement of Lives』(2018年)やガイア・ヴィルメル(Gaia Wilmer)の作品への参加など現在のNYの音楽シーンで注目される若手で、(2)「Could You Possibly」や(3)「Quota」などで聴かせるテクニカルで伸びやかなスキャットが素晴らしい。

ヘヴィなギターで始まる(8)「Composite」。
ブラジル出身のギタリスト、アンドレ・ヴァスコンセロスやペルー出身のオズマール・オクマが参加。

Crosswalk Anarchyは2013年にボストンで結成。初期メンバー5人中4人が2013年のバークリー卒業生で、韓国出身のヴォーカリスト、ソン・イ・ジョンのみが結成当時は在学中だったという。
スナーキー・パピー(Snarky Puppy)やロバート・グラスパー(Robert Glasper)、チック・コリア(Chick Corea)などに影響を受けており、そこかしこに脈々と受け継がれてきたジャズの歴史へのリスペクトや多文化的なエッセンスを散りばめながら、個性的かつ現代的なサウンドにまとめ上げるセンスが魅力的だ。

リーダーで鍵盤奏者/作曲家のエヴァン・ワーラマーはコネチカット州生まれ。ジャズやブラジル音楽、アフロキューバンなど多様な音楽に魅了されており、その経験がCrosswalk Anarchyでの多国籍メンバーとの共同制作にも活きている。近年は映画音楽の制作などでもその才能を発揮しているようだ。

Crosswalk Anarchyのメンバーは度々入れ替わっているようで、公式サイトを見る限り現在はヴォーカリスト含む多くのメンバーが本アルバムのクレジットとは違うミュージシャンになっているが、世界中の音楽の境界を曖昧にし続けるエヴァン・ワーラマーのもと、さらに多くの音楽文化を吸収し発展を遂げていきそうな勢いである。

「Pep Talk」のスタジオライヴ動画(本作未収録曲)。

Evan Waaramaa – keyboards
Song Yi Jeon – vocal
Greg Toro – bass (1-7)
Osmar Okuma – bass (8)
Jamie Howell – drums
Andre Vasconcelos – guitar (1-4, 6, 8)
Tom Dowd – guitar&vocal (5, 7)

Crosswalk Anarchy - Composite
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