ジョー・バルビエリ新譜『Tratto Da Una Storia Vera』
イタリアのSSW、ジョー・バルビエリ(Joe Barbieri)はこれまで全く聴いたことがなかったが、新譜『Tratto Da Una Storia Vera』が好みの超ど真ん中で驚いた。ジャジーで南米音楽の香りのする爽やかなアレンジに、伊達男な感じの優しく落ち着いた声。どうしてこんな素晴らしいアーティストを今まで聴いてこなかったんだろう…。
サウンドはジャズやブラジル音楽(特にボサノヴァ)、イタリアのカンツォーネにクラシックの室内楽をまぶしたような温かみのあるアレンジが素晴らしく、聴いていて心が穏やかになる音楽だ。
2020年、イタリアでも猛威を振るったCOVID-19のパンデミックのなかで作られた楽曲群が収められており、ファブリッツィオ・ボッソ(Fabrizio Bosso)、カルメン・コンソリ(Carmen Consoli)、セルジョ・カンマリエーレ(Sergio Cammariere)、トスカ(Tosca)、さらにはブラジルの名チェリスト、ジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum)といったイタリア内外のアーティストがリモートで録音に参加し、楽曲ごとに異なる表情を見せる。そのどれもが一聴して聴き惚れるほど魅力的だ。このアルバムには間違いなく、ジョー・バルビエリという稀代のシンガーソングライターの魅力が凝縮されている。
本作はコアポートより国内盤も販売されている。とにかく美しく、その中に瑞々しくポップな感性が溢れる傑作!