MPB歌姫ホベルタ・サー、デビュー前の“幻のアルバム”を正式リリース!

Roberta Sá - Sambas & Bossas

ホベルタ・サー、サウダーヂ溢れるサンバ&ボッサ曲集

現在のブラジルを代表する歌姫のひとり、ホベルタ・サー(Roberta Sá)によるサンバ&ボサノヴァ曲集が発表された。アルバム・タイトルはそのまんま『Sambas & Bossas』

実はこの作品、2003年に録音されていながら公式にはリリースされていなかったもので、サンバの巨匠カルトーラの(1)「Alegria」や、最近サブスク配信が解禁され話題となったジョアン・ジルベルトのアルバム『三月の水』(1973年)にも収録のジェラルド・ピレイラ作曲(4)「Falsa Baiana」、“ボサノヴァの起源”といわれているアントニオ・カルロス・ジョビン作曲の(5)「Chega de Saudade」、カルロス・リラの(8)「Coisa Mais Linda」といったサンバやボサノヴァの名曲がずらりと並んでいる。弦楽器やパーカッションを主体としたシンプルな演奏に支えられる柔らかく美しいホベルタ・サーの声はどこまでも透き通っており、本物のブラジル音楽ならではのサウダーヂが香る素晴らしいアルバムだ。

ストレートなサンバ演奏で歌われるシコ・ブアルキの曲(2)「Essa Moça Tá Diferente」

デビュー前の“幻のアルバム”

ホベルタ・サーは1980年、ブラジル北東部のリオグランデ・ド・ノルテ州生まれ。ヴォーカリストとしてのキャリアは2002年にヴォーカル・オーディション番組に参加したことに始まる。彼女は優勝することはできなかったが、その歌唱は強く印象を残し、その後フェリペ・アブレウ(Felipe Abreu, 歌手フェルナンダ・アブレウの兄)がヴォーカル・コーチとなりその後のショーへの参加を勧められた。ほどなくしてホベルタはプロデューサー/弦楽器奏者のホドリゴ・カンペーロ(Rodrigo Campello)と出会い、プロモーション用としてこの『Sambas & Bossas』を録音したのだという。

ホベルタ・サーは2005年に新人と思えないクオリティで大ヒットした『Braseiro』をリリースしており、公式バイオではこれがデビュー作とされている。
その少し前に録音されていながらリリースされていなかった、まさに“幻のアルバム”。素直で音楽の喜びに満ち、さまざまな感情を呼び起こさせる彼女の歌を聴いていると、優れた音楽にギミックなど必要ないことを思い知らされる。

Roberta Sá - Sambas & Bossas
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