ティグラン・ハマシアン初期の名作『Red Hail』サブスク解禁!

Tigran Hamasyan - Red Hail

ティグラン・ハマシアン初期の名作『Red Hail』サブスク解禁!

アルメニア出身で2006年に若手ジャズ・アーティストの登竜門であるセロニアス・モンク・コンペティションで優勝したティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)の2009年の3rdアルバム『Red Hail』がついにSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスで配信開始となった。

この作品ではシンガーのアレニ・アグバビアン(Areni Agbabian)やベースのサム・ミナイエ(Sam Minaie)、サックスのベン・ウェンデル(Ben Wendel)、ドラムスのネイト・ウッド(Nate Wood)など、後々の名盤『Mockroot』(2015年)などにも名前を連ねるアーティストたちとの演奏で、まだオーセンティックなジャズの要素も少なくない割合で残るティグランのキャリア初期の演奏を堪能することができる。

とはいえティグラン・ハマシアンの最大の魅力であるプログレッシヴ・ロックやアルメニアの民族音楽に大きく影響された楽曲構成やフレーズも随所にみられ、最近になって彼の演奏を聴くようになった人にとっても期待以上の作品になっていると思う。収録曲は基本的にティグランのオリジナルだが、(1)「Shogher Jan」、(10)「Chinar Es」、(12)「Amran Gisher」の3曲はアルメニアの伝統曲をティグランがアレンジしたもの。のちに上原ひろみやチック・コリアとも共演することになるギタリストのチャールズ・アルトゥラ(Charles Altura)が参加する(3)「The Glass-Hearted Queen」や(7)「Corrupt」などはかなりプログレ色が濃い。予想できない曲の展開、想像力と創造力に溢れた独特の即興フレーズ。次にどんな音が来るのだろう、と思わせてくれる楽曲の数々。
今でこそティグラン・ハマシアンの音楽の凄さは世界中に広く知れ渡っているが、当時これをリアルタイムで聴いていたら相当な衝撃を受けただろうな、と思うような複雑な音とリズムの洪水に圧倒される。

このアルバムは2008年にカリフォルニアのスタジオで3日間のレコーディングとミックスで完成したが、初日に時間がたっぷりあると思ったティグランは午前中にビーチに出かけてしまい、午後3時にスタジオに戻り録音に取り掛かったが次から次に問題が起き、結局翌日の朝4時までテイクやオーヴァーダブを重ねたというエピソードも。
ティグラン・ハマシアンという唯一無二のアーティストの音楽に対する尋常ではないエネルギーと情熱が爆発した、ジャズ史に残る傑作だ。

2009年のライヴ映像。
アルバムの録音には参加していないが、このライヴではマーク・ジュリアナ(Mark Giuliana)がドラムスを叩いている。

Tigran Hamasyan – piano, Fender Rhodes, Nord Electro keyboard, Fantom x8 synthesizer
Areni Agbabian – voice
Ben Wendel – soprano & tenor saxophones, bassoon, melodica
Sam Minaie – acoustic & electric basses
Nate Wood – drums
Charles Altura – guitar (3, 7, 11)

Tigran Hamasyan - Red Hail
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