ミナスのマルチ奏者アベル・ボルジェス、20年のキャリアから生まれた個性的“デビュー作”

Abel Borges - Alafiá

打楽器奏者アベル・ボルジェス、ミナスの精鋭たちと生み出した“デビュー作”

ブラジルの作曲家/パーカッショニスト/ギタリストのアベル・ボルジェス(Abel Borges)が、自身の音楽家としての20年に及ぶキャリアの集大成として発表したデビューアルバム『Alafiá』をリリースした。

演奏にはギタリストのルーカス・テレス(Lucas Telles)、フルートのアレシャンドリ・アンドレス(Alexandre Andrés)、ベーシストのキコ・ミトリ(Kiko Mitre)とその姪でピアニストのルイーザ・ミトリ(Luiza Mitre)、その妹のヴィブラフォン奏者ナタリア・ミトリNatália Mitre)といったミナスの優れたミュージシャンが参加。

今作ではCovid-19によるパンデミックの1年間で書き溜めた12の楽曲を収録。今作がソロデビューとはいえ、彼のこれまでの長い音楽家としての叡智と経験に裏打ちされた素晴らしい音楽が淡々としつつも深い情熱を持って展開される。

作風は独特だ。

冒頭(1)「Exú」でのビリンバウや各種打楽器のプリミティヴなアンサンブルはアベル・ボルジェスという未知の音楽家へのほんの入り口に過ぎない。

(2)「Curupira」では一転してエレクトリック・ピアノとパンデイロ、フルートに導かれ即興も交えた野生的だが豊かな曲調へと発展。

(2)「Curupira」は洗練と野性の入り混じった不思議な響きを湛える。

その後もショーロ、サンバ、カンドンブレ、ジャズ、クラシック、現代音楽といった要素が密に混在しながら、既存の音楽的常識や感性を超えた世界観に引きずり込まれていく。
こういう個性的な音楽にはできるだけ大音量で浸っていたい。どこか別の場所に連れて行ってくれそうな、そんな体感的なアルバムだ。

アフリカ系ブラジル音楽からの影響も

アベル・ボルジェスは8歳でピアノを始め、14歳でミュージシャンとなり、ミナスジェライス連邦大学(UFMG)で学んだ。彼はポピュラーミュージックとクラシック音楽を常に学んでいたが、一方でサンバやウンバンダ、カンドンブレといった土着音楽にも強く惹かれていた。今作の楽曲群でも随所でアフリカ系ブラジル人たちの文化への深いリスペクトが感じ取れるのはそのためだろう。

2011年にルーカス・テレス、ルイーザ・ミトリ、そしてカヴァキーニョ奏者ルーカス・ラデイアLucas Ladeia)とToca de Tatuというバンドを結成。ショーロをルーツとし現代的な感性で聴かせる『Meu Amigo Radamés』(2013年)、『Afinidade』(2017年)をリリースしている。

Abel Borges – percussion, guitar, vocal
Lucas Telles – guitar, bandolim
Alexandre Andrés – flute
Marcelo Caldi – accordion
Kiko Mitre – contrabass
Lucas Ladeia – cavaquinho
Luísa Mitre – piano, keyboards
Natália Mitre – vibrafone

Abel Borges - Alafiá
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