感性豊かなグアドループ出身のソロパフォーマー、シンシア・アブラハム

Cynthia Abraham - Unisson

グアドループ出身の個性派ソロパフォーマー、Cynthia Abraham の2nd

グアドループ出身のSSW/作曲家シンシア・アブラハム(Cynthia Abraham)は自身による声、フルート、打楽器のみで自由に、クリエイティヴに音楽を構築してゆく女性アーティストだ。2021年11月リリースの最新作『Unisson』は一応“ジャズ”にカテゴライズされているが、とてもその分類で片付けてしまうことはできない。

(1)「Laisser aller」は重ね録りしたフルートのリズミカルな和音に始まり、幾重にも重なる声や控えめなパーカッション、そしてメインヴォーカルが乗る。これらはすべてシンシア・アブラハムが一人で演奏しているもので、質素なようでいてポリリズムの波が寄せては返す技巧も見せる。

(1)「Laisser aller」

このミニマルで独特な世界観に別の彩りを添えているのが個性的なゲスト陣で、グアドループのパーカッション奏者ソニー・トルーペ(Sonny Troupé)が(3)「Misyé Mendé」に、ピアニストのエドゥアルド・モニン(Edouard Monnin)が(4)「Lost in Shadow」に、ブラジル出身のムニール・オッスンMunir Hossn)が(7)「S’envoler」、そしてピアニストのピエール・デ・ベトマンPierre de Bethmann)が(8)「Siyobona」にそれぞれ絶妙なエッセンスを滴らせている。

ソニー・トルーペがカ(グアドループの打楽器)を演奏する(3)「Misyé Mendé」
ムニール・オッスンがゲスト参加した(7)「S’envoler」

アルバム名の“ユニゾン”とは同じ高さの音を複数の声や楽器で演奏することをいうが、彼女はこの言葉に利他主義や人々の結びつきを重ねている。曲はフランス語、クレオール語、英語で歌われるが決して言語的・説明的ではなく音楽的に響く。

クラシック音楽、現代音楽、ジャズ・R&Bなどの黒人音楽、さらにグアドループの文化が複雑に混ざり合い、彼女のフィルターを通して創造された今作はどんなジャンルにも属さない、まさにシンシア・アブラハムという個性からしか生まれ得なかった傑作だ。

Cynthia Abraham プロフィール

シンシア・アブラハムはグアドループ生まれ、現在はパリを拠点に活動するシンガーソングライター、プロデューサー。音楽家の家庭に生まれ、幼少期から合唱団で歌ったり楽器を習ったりしていたようだ。歌と舞台芸術への情熱はやがてジャズへと彼女を導き、フランスのボビニー音楽院で学んだ。2015年、23歳でアルバム『Petites voix』でデビュー、今作『Unisson』は彼女の第二作目。ステージではルーパーを駆使し、声やパーカッション、フルートなどを使った独創的なソロパフォーマンスを行うスタイルを特徴としている。

兄妹のザカリー(Zacharie)、クレリア(Clélya)もミュージシャンで、2020年には兄妹3人に加えアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)をドラムスに迎えたアルバム『Abraham Réunion』をリリースしている。

Cynthia Abraham – voice, percussion, flute

Guests :
Sonny Troupé – ka (3)
Edouard Monnin – piano (4)
Munir Hossn – guitar, bass (7)
Pierre de Bethmann – piano (8)

Cynthia Abraham - Unisson
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