オーストラリア出身のピアニスト、ダニエル・ガッサン新作
オーストラリア出身、パリで活躍するピアニスト/作曲家ダニエル・ガッサン(Daniel Gassin)による“Crossover Band”名義のデビュー作『Change of Heart』。ネオソウルの新星ヴォーカリスト、アリタ・モーゼス(Alita Moses)を擁する5人編成のバンドで、古典的なジャズと現代ジャズの交叉点を美しく描いている。
アルバムはジョン・コルトレーンによる(6)「Naima」を除きすべてダニエル・ガッサンのオリジナル。
メロディやハーモニーを重視した美しいアンサンブルに、アリタ・モーゼスの伸びやかで柔らかい歌声が乗る。ダニエルはほとんどの楽曲でピアノを弾いているが、(3)「Crossover」ではアナログ・モデリング・シンセNord Electroによる電気ピアノの音色を用いる。
特筆すべきはギタリストのジョサイア・ウッドソン(Josiah Woodson)だ。彼はニューヨークを拠点に活動しており、ギターの他にトランペット等マルチ奏者としても活躍する才人。今作では専らギターに専念しているが、その音色、フレージングともに支配的でオブリガート、ソロ、コードバッキングのどれをとっても圧倒的な存在感を示しており、事前情報なくアルバムを聴いたときにはギタリストのリーダー作かと思ったほどだ。
Daniel Gassin プロフィール
ダニエル・ガッサンはオーストラリア・メルボルンでアメリカ人の母親とフランス人の父親のもとに生まれた。4歳からクラシックピアノを、11歳からジャズピアノを始め、のちにトリオやセクステットでアルバムをリリース。その抒情的ながらエッジの効いたピアニズムで国際的な評価を得た。
2007年のモントルー・ジャズフェスティバルのジャズ・ソロピアノ・コンクールではファイナリストとなっている。
大学では法律を学び、ピアニストとして活動の傍ら、法廷弁護士としての顔も持っていた。
2013年にパリに移住し、その4年後に“Crossover Band”を創立。2019年に最初のEPをリリース、そして2021年に今作『Change of Heart』をリリースした。
Daniel Gassin – piano, Nord Electro, backing vocals
Alita Moses – vocals, backing vocals
Josiah Woodson – guitar
Fabricio Nicolas-Garcia – double bass
Damien Françon – drums