北欧ジャズの旗手ヘルゲ・リエン、美しき遺産への再訪『Revisited』

Helge Lien Trio - Revisited

ヘルゲ・リエン、過去曲への再訪『Revisited』

ノルウェーのピアノトリオ、ヘルゲ・リエン・トリオ(Helge Lien Trio)の待望の最新作『Revisited』がリリースされた。タイトル「再訪」が示すとおり、トリオの20年の軌跡を辿りつつ、過去に演奏した楽曲を現在の視点から捉え直し、再構築するというコンセプトの作品だ。

たとえば(1)「Hymne Revisited」は記念すべきトリオのデビュー作、『What Are You Doing the Rest of Your Life』(2001年)の収録曲「Hymne」をモチーフとしている。他にもこれまでのトリオの作品からセレクトされた楽曲群が巧妙にアレンジされ、美しく蘇る様は彼の哲学的な思想を反映しており、その深淵な叙述に惹き込まれる。

今作ではベースにヨハン・エイク(Johannes Eick)、ドラムスにはトリオ創始期からのクヌート・オーレフィアール(Knut Aalefjær)が参加。ヘルゲ・リエンらしい音世界が繰り広げられる。

この作品には派手さは一切ない。
ただひたすらに求道的だが、そこに美学を感じる方であれば、この作品はひとつの指標となり得る名作だと思う。

(9)「Nipa Revisited」
原曲は『10』(2019年)収録。

北欧ジャズを牽引するピアニスト、Helge Lien

トリオのリーダーでありピアニスト/作曲家のヘルゲ・リエンは1975年生まれ。オスロのノルウェー音楽アカデミーで音楽を学び、2000年にソロ作『Talking to a Tree』でデビュー。同年『Liker』を録音したサックスとチューバとのやや前衛的なトリオでは南麻布のノルウェー大使館で演奏を行うなど、新たな北欧ジャズの旗手として注目を集めた。
フローデ・ベルグ(Frode Berg, b)、クヌート・オーレフィアール(Knut Aalefjær, ds)とのトリオのデビュー作となった『What Are You Doing the Rest of Your Life』(2001年)はその独特の美しい世界観で日本でもピアノトリオの名盤として評価されている。

妻が南麻布のノルウェー大使館に勤務しており日本語にも精通していたため、ヘルゲも日本贔屓なことで知られており、楽曲タイトルに度々日本語タイトルをつけており、『Natsukashii』(2011年)、『Guzuguzu』(2017年)というアルバムも。

長いキャリアの中で、自身のプロジェクトの他にサイドマンとしても活躍。名実ともにノルウェーのジャズを牽引する存在だ。

Helge Lien Trio :
Helge Lien – piano
Johannes Eick – bass
Knut Aalefjaer – drums

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