Ordinariusの新譜は詩人アルヂール・ブランキ楽曲集
ブラジルの男女混成ヴォーカル・グループ、Ordinariusの新譜 『Blanc』は、タイトル通りブラジルの詩人アルヂール・ブランキ(Aldir Blanc, 1946 – 2020)が遺した数々の楽曲を取り上げた作品。ブランキ自身は新型コロナウイルス感染症のため2020年にこの世を去ってしまった(過去記事参照)が、偉大な作詞家の足跡を辿るように歌われる全12曲は多幸感に満ち、音楽や歌うことの素晴らしさをあらためて実感させてくれる。
作曲家はギンガ(Guinga)やジョアン・ボスコ(João Bosco)、クリストヴァン・バストス(Cristovão Bastos)などで、比較的有名なボサノヴァ・ナンバーを集めた前作『Bossa 20』と比較するとよりディープで知的なブラジル音楽の真髄に触れることができる。
作詞家として知られるアルヂール・ブランキの名は日本では作曲家ほど注目されておらずあまり知られていないが、エリス・レジーナやナナ・カイミに楽曲を提供した偉大な社会派作詞家としてブラジルでは著名な存在。Covid-19で亡くなった際にはパンデミック下の文化界の緊急支援のために「アルヂール・ブランキ法(Lei Aldir Blanc)」が制定されるほど尊敬されている。
Ordinarius プロフィール
オルヂナリウス(Ordinarius)は2008年に結成。リオデジャネイロで開催されたアカペラ・ヴォーカルグループ・コンペティションで優勝し、最初のアルバム『Ordinarius』を2012年にリリース。ショーロやサンバ、ボサノヴァといったブラジル音楽から、スティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソンなどもレパートリーとしている。
これまでにアメリカやヨーロッパ、日本での公演も行ったブラジル随一の実力派だ。
リーダーはアレンジや音楽ディレクターも務める歌手アウグスト・オルヂニ(Augusto Ordine)。