カタルーニャのSSWポル・バトレ、独自の作家性を放つソロデビュー作
スペインのシンガーソングライター/ギタリストのポル・バトレ（Pol Batlle）が待望のソロ・デビューアルバム『Salt Mortal』をリリースした。彼は日本でも人気の歌手/トロンボーン奏者リタ・パイエス（Rita Payés）の夫で、リタと彼女の母エリザベト・ローマのデュオ2作目『Como la Piel』にも数曲で参加し、それまでの母娘の作品のテイストには全くなかったダーク・ファンタジーな風を吹き込んでいた張本人である。
アルバムにはそのリタ・パイエスがほぼ全面参加しているほか、スペインを代表する歌手シルビア・ペレス・クルス（Sílvia Pérez Cruz）が(3)「Circular」に、そしてコンテンポラリー・フラメンコ・ギタリストのパウ・フィゲレス（Pau Figueres）がゲスト参加しておりこの2曲で作品の中核を形成。
ポル・バトレは以前はLjubliana & The Seawolfというバルセロナのオルタナティヴ・ロックバンドで活動しており、アルバムやEPもリリースしている。今作にはそんな尖ったルーツを持ち込みつつ、リタ・パイエスやシルビア・ペレス・クルスの参加によって柔和なニュアンスが加わり、全体として独特の幻想的で不思議な質感が魅力的な仕上がり。その印象はファルセットを自在に操るポル・バトレの声によるところも大きい。
プロデューサーはラテングラミー賞受賞経験のあるフアン・ベルビン（Juan Berbín）。ナイロン弦のギターと控え目なエレクトリック・ギターがサウンドの土台を担い、随所に洗練された丁寧な音響処理も。
優れた音楽家には決まって独特の世界観があるものだが、ポル・バトレのこの作品にも、それがある。
Pol Batlle – vocal, chorus, guitar
Rita Payés – vocal, chorus
Guests :
Pau Figueres – guitar (2)
Sílvia Pérez Cruz – vocal (3)