アフリカの“現在”を歌い続けるワスルの歌姫ウム・サンガレ、新譜『Timbuktu』リリース

Oumou Sangaré - Timbuktu

生きる道を自ら切り拓いた“ワスルの歌姫”

マリのシンガーソングライター、ウム・サンガレ(Oumou Sangaré)が新譜『Timbuktu』をリリースした。コラに似た弦楽器カメレ・ンゴニや多数の打楽器などが躍動する作品で、マリ南部の伝統的なワスル音楽がロック、ブルースなどの影響を受け、彼女の力強さと包容力を兼ね備えた歌声とともに世界に響く。この音楽には、彼女の生き様が強く反映されている。

(1)「Wassulu Don」

ウム・サンガレは1968年にマリの首都バマコ生まれ。バマコを含むニジェール川より南側の地域はワスル地方と呼ばれ、両親はともにワスル音楽の歌手だった。幼少期に父親は2番目の妻を連れてコートジボワールに移り、彼女は母親や兄弟と共にバマコに残された。そうした家庭事情もあって幼少期に学校を辞め、家計を助けるために街頭で歌うようになったという。5歳の頃、バマコで行われた幼稚園歌唱コンクールに優勝し、大統領の名を冠したモディボ・ケイタ・スタジアムで何千人もの聴衆を前に歌ったことが彼女の歌手としての最初の偉大なエピソードだ。

6歳の頃からパーカッショングループとの演奏旅行に帯同し、フランス、ドイツ、オランダ、カリブ海などを周り、帰国後に自身のグループを結成。1990年のファーストアルバム『Moussoulou』はアフリカで大ヒットを収め、“ワスルの歌姫”として広く知られるようになった。

(2)「Sira」

2010年にはハービー・ハンコックのアルバム『The Imagine Project』でSeal、P!nk、インディア・アリー、Konono Nº1、ジェフ・ベックなどと共に「Imagine」を歌っている。

彼女の歌では女性の愛や結婚の選択の自由に関するテーマが特に多く取り上げられており、デビュー以来30年の間に音楽を通じてワスル地方、ひいてはアフリカの社会の意識変革に一定の役割を果たしてきた。現在、彼女は国連食糧農業機関(FAO)の親善大使を務めている。

Oumou Sangaré - Timbuktu
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