クラリネット、チェロ×2、ザルブの前衛室内楽ジャズ!仏巨匠ルイ・スクラヴィスの芸術的な新譜

Louis Sclavis - Les Cadences du Monde

ルイ・スクラヴィスによる個性的な室内楽ジャズ『Les Cadences du Monde』

フランスを代表するジャズ・クラリネット奏者ルイ・スクラヴィス(Louis Sclavis)が、チェロ2台とパーカッションという意欲的なカルテットで録音した2022年新譜『Les Cadences du Monde』。前衛的な室内楽といった形容が相応しい、美しく芸術的な音楽だ。

アンナ・ルイス(Anna Luis)とブルーノ・デュクレ(Bruno Ducret)という二人のチェリストはそれぞれ主旋律や対旋律、ベースなどを様々な奏法を用い状況に応じて受け持ち、広い音域を目一杯に活用。同様に音域の広いルイ・スクラヴィスのクラリネットともユニゾンしたり旋律を補完したりと、この3人の絡み合いが今作の一番の聴きどころとなっている。
打楽器奏者ケイヴァン・シェミラーニ(Keyvan Chemirani)はイラン系フランス人で、ペルシャの伝統的な太鼓ザルブ(zarb)の専門家。彼が叩き出す繊細で大胆なリズムが今作のオリエンタルな印象を決定づける。

(10)「Les Saisons Du Delta」導入部でのはっちゃけたチェロ演奏や、その後に提示されるあまりに美しいチェロとクラリネットのユニゾンなど、楽曲自体よりも音色の印象が強烈に記憶に刻まれるタイプの稀有な作品だと思う。

チェロとクラリネットのユニゾンがこの上なく美しい(10)「Les Saisons Du Delta」

クラリネットの名手、Louis Sclavis 略歴

ルイ・スクラヴィスは1953年フランス・リヨン生まれ。9歳からクラリネットを習い始め、さまざまなブラスバンドやグループで経験を積んだ。リヨン国立高等音楽院で学び、デビュー後はジャンゴ・ラインハルト賞「最優秀フランス・ジャズ・ミュージシャン」(1988年)、バルセロナ・ビエンナーレ最優秀賞(1989年)など様々な賞を獲得。1991年の『Rouge』を皮切りに、名門ECMから数多くの作品をリリースしている。
前衛的な表現や室内楽的な表現も得意とし、楽器はクラリネット、バスクラリネット、ソプラノサックスを演奏する。

Louis Sclavis – clarinet
Anna Luis – cello
Bruno Ducret – cello
Keyvan Chemirani – zarb, percussion

Louis Sclavis - Les Cadences du Monde
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