暗雲に輝く縁=“シルヴァー・ライニング”をこれ以上なく美しく描き出すピアノとヴァイブのデュオ

Giovanni Mirabassi & Christos Rafalides - Silver Lining

ジョヴァンニ・ミラバッシ&クリストス・ラファリデス 初のデュオ作

イタリア出身のピアニスト、ジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)とギリシャ出身のヴィブラフォン奏者クリストス・ラファリデス(Christos Rafalides)のデュオ作品『Silver Lining』。アルバムタイトルのシルヴァーライニングとは空を覆う暗雲の縁の、裏側から太陽の光があたって銀色に輝く部分を差し、比喩的には“困難な状況下での希望の光”といった意味を持つが、ピアノとヴィブラフォンのみで演奏される彼らの音楽はまさしくそんな状況を的確に表している。

思慮深く、それでも確かな信念を持って叩かれるピアノとヴィブラフォンの鍵盤から生み出される音楽のなんと美しいことだろう…。
ジョヴァンニ・ミラバッシという稀有なピアニストが出す音にはいつものように魔力的な没入感があるが、クリストス・ラファリデスのヴィブラフォンはその煌びやかな音色でミラバッシが空にかける雲を照らし、そのエッジを銀色に輝かせる。

多くはどちらかの作曲(過去曲の再演も多い)だが、魅力的なカヴァーも見逃せない。スティーヴィー・ワンダーの(4)「Overjoyed」とホレス・シルヴァーの(10)「Opus de Funk」はミラバッシとラファリデスを知らない人にとって、最適な入口となるだろう。前者は原曲の美しさを活かし即興は控え目、シンプルに演奏されるが、それ故に二人の表現力の素晴らしさが強調されている。対照的に後者は二人のアドリブが絶好調で、未来への“希望”を強調する。

スティーヴィー・ワンダーの名曲カヴァー(4)「Overjoyed」

Giovanni Mirabassi プロフィール

ジョヴァンニ・ミラバッシは1970年イタリア・ペルージャ生まれのピアニスト/作曲家。10歳の頃にジャズに出会い、独学でピアノを始めた。現在はフランス・パリのマンモルトルを拠点に活動している。

2001年にリリースした『Avanti!』は世界各地の反戦歌や革命歌といった硬派なテーマのピアノ独奏作品だったが、ジャズの、しかもソロピアノのアルバムとしては異例の全世界で10万枚以上のセールスを記録。一躍彼の名を世界に轟かせる名盤となった。
実兄は人気ジャズクラリネット奏者のガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)。

Christos Rafalides プロフィール

クリストス・ラファリデスは1972年ギリシャ・コザニ生まれ。
ピアノを弾いた兄の影響を受けて幼い頃から音楽を演奏し始めた。14歳でクラシックの打楽器の勉強を始め、20歳までにギリシャ周辺のオーケストラで演奏をしていた。
クラシックの道を志していた彼だったが、ビリー・コブハムのバンドのピアニスト、ジョージ・ケイブルスの演奏に感銘を受けジャズ・ヴィブラフォン奏者への転身を決意。ボストンのバークリー音楽大学で学び、その後ニューヨークを拠点に活動しラヴィ・コルトレーン、アントニオ・サンチェス、ダニー・マッキャスリン、ランディ・ブレッカー、マイク・スターンといった名手たちとの共演を重ねてきた。

Giovanni Mirabassi – piano
Christos Rafalides – vibraphone

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