ブラジル音楽の歴史の伝道師、SSWミルラ・ヒオマールのデビュー作『Afrobrasileira』

Mirla Riomar - Afrobrasileira

ブラジル音楽文化の過去と未来を繋ぐミルラ・ヒオマール

ブラジル出身のシンガーソングライター、ミルラ・ヒオマール(Mirla Riomar)のデビュー作『Afrobrasileira』は、ブラジルに住んでいた/あるいは連れてこられた人々が歴史的に育んできた豊かな音楽文化を現代に伝え、未来へと繋いでいく素晴らしい作品だ。

バイーア州都サルヴァドール生まれの彼女が幼少時から聴き、歌い、心も身体も躍らせてきたであろう様々なブラジルの音楽のエッセンスが凝縮されている。これはサンバ、ボサノヴァ、フォホー、イジェシャー、マクレレといった音楽ジャンルの呼称を超えて彼女の魂に染み付いた音楽の衝動や喜びだ。リズムもハーモニーも楽器の音も、そして勿論ミルラ・ヒオマールの声も、多彩でありながらどこを切り取っても“ブラジル”そのもの。

アルバムは共同プロデューサーのマルセル・ヴァレス(Marcel Vallès)、パーカッション奏者のアラン・ソウザ(Alan Souza)による全面協力のもと、(1)「Iworò」ではフルート奏者のレチエレス・レイチ(Letieres Leite)、(8)「Mulheres da Minha Terra」では世界的なハーモニカ奏者ガブリエル・グロッシ(Gabriel Grossi)という超強力なゲストも参戦し、ブラジル文化の最高の表現者たるミルラ・ヒオマールの門出を祝う。

(1)「Iworò」では、2021年にCovid-19のため61歳で亡くなったフルートの巨匠レチエレス・レイチがフィーチュアされている。

今作は彼女がこれまでの半生における様々な時期に書かれたオリジナルで構成されている。
例えば貧民街に住んでいた13歳の時に作られた(3)「Zauê」では、少女の夢とより良い未来への希望についてが歌われている。

どれもが瑞々しく躍動的で魅力的な楽曲群。
ミルラ・ヒオマールは時代や社会の在り方を代弁する、新しいスターかもしれない。

(9)「Grande Orixá」

Mirla Riomar 略歴

ミルラ・ヒオマールは父方がアフリカ系、母方が先住民族系という家庭に生まれ育ったシンガー/作曲家/パーカッション奏者/ダンサー。
彼女は幼い頃から、アフリカの先祖代々の伝統が特徴のコミュニティでダンスやパーカッションを通じてコミュニケーションをとることを学び、この経験は現在でも彼女の大切なアイデンティティとなっている。

12歳のときに最初の音楽プロジェクトに参加し、歌への情熱を発見した。それ以来、彼女はいくつかのバンドに参加し始め、サルヴァドールの歴史あるカストロ・アウヴェス劇場ではアルアンダ(Aruanda)と共演。

2016年にスペインのバルセロナに移住し、ギタリストのマルセロ・ヴァレスとともに音楽活動を本格化。ブラジルの音楽文化を広く発信している。

Mirla Riomar – vocal, percussion
Marcel Vallès – guitar
Alan Sousa – percussion
Tony Cruz – bass

Guests :
Letieres Leite – flute (1)
Gabriel Grossi – harmonica (8)

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