世界の名だたる音楽家が参加!ハーモニカとは思えない圧倒的表現力で魅せるガブリエル・グロッシ新譜『Plural』

Gabriel Grossi - Plural

ハーモニカ奏者ガブリエル・グロッシ、キャリア集大成的な新作

現代最高峰のジャズ・ハーモニカ奏者/作曲家のガブリエル・グロッシ(Gabriel Grossi)の新譜『Plural』は、ブラジル音楽を牽引する巨匠たちや各国の著名な音楽家を多数ゲストに迎えたとりわけ豪華な一枚だ。今作はガブリエル・グロッシのキャリア25周年を記念するもので、彼の13枚目のアルバム。リリース日の2022年4月29日は、奇しくもジャズ・ハーモニカの先駆者トゥーツ・シールマンス(Toots Thielemans, 1922年4月29日 – 2016年8月22日)の生誕100周年という記念すべき日だった。

(1)「Motion」ではイギリスのテナーサックス奏者シーマス・ブレイク(Seamus Blake)とマルチ奏者ジェイコブ・コリアー(Jacob Collier)との大西洋を越えた共演が実現。冒頭ではジェイコブ・コリアーによるものと思われる独創的なキーボードのハーモナイズやヴォイスに彩られ、その後ガブリエル・グロッシの歌心溢れるソロが展開される。

(2)「Chamego no Salão」はグロッシと、セウ・ジョルジの師であるガブリエル・モウラの共作曲で、ブラジル北東部音楽の雰囲気が強い。ここではレニーニ(Lenine)が歌唱を担当。

ブラジリアン・ロックの巨匠レニーニをフィーチュアした(2)「Chamego no Salão」

90年代以降のMPBを代表するSSW、ゼリア・ドゥンカン(Zélia Duncan)を迎えた(3)「Nosso Amor Vadio」はサウダーヂ満載のショーロ。名手ホジェリオ・カエターノ(Rogério Caetano)が弾く7弦ギターのバイシャリーアも心地良い。

(3)「Nosso Amor Vadio」にはヴォーカルにゼリア・ドゥンカンが参加

(4)「Banzo」にはキューバの名ピアニスト、オマール・ソーサ(Omar Sosa)がゲスト参加。
(5)「Hermanos」は世界最高の7弦ギタリスト、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)とのデュオで、ギターとクロマティック・ハーモニカの超絶技巧の応酬が楽しめる。

ゆったりとしたバラード(6)「Onde Nascem As Ondas」ではブラジリアン・ソウル/AORの巨匠エヂ・モッタ(Ed Motta)が渋い喉を披露し、(7)「Paisagem」ではブラジル音楽にも精通するイスラエルのクラリネット奏者アナット・コーエン(Anat Cohen)が参加。さらに(8)「Botero」では気鋭ピアニスト、エドゥアルド・ファリアス(Eduardo Farias)との精神的に集中した力強いデュオ演奏を聴かせる。

ラスト2曲はさらに凄い。
(9)「Nossa Valsa」はレイラ・ピニェイロ(Leila Pinheiro)、そして(10)「Catarina e Teresa」にはエルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)という伝説級の存在と共演する。

それにしても、これだけ素晴らしい音楽家を招いておきつつ、ガブリエル・グロッシのハーモニカの存在感は常に支配的だ。とてもクロマティック・ハーモニカの成せる業とは思えない高速のフレージングや、随所で見せる圧倒的な音色の表現力には最大限の賛辞を送りたい。

Gabriel Grossi – harmonica
Eduardo Farias – piano, Fender Rhodes
André Vasconcellos – bass
Xande Figueiredo – drums
Rafael dos Anjos – guitar (3)
Rogério Caetano – 7 strings guitar (3)
Marcelinho Moreira – percussion (3)
Rodrigo de Jesus – percussion (3)
Jurandir Santana – guitar (4)
Amoy Ribas – percussion (4)
Juan Barbin – percussion (4)

Guests :
Jacob Collier – voice (1)
Seamus Blake – tenor saxophone (1)
Lenine – vocal (2)
Zélia Duncan – vocal (3)
Omar Sosa – Fender Rhodes (4)
Yamandu Costa – 7 strings guitar (5)
Ed Motta – vocal (6)
Anat Cohen – clarinet (7)
Eduardo Farias – piano (8)
Leila Pinheiro – vocal (9)
Hermeto Pascoal – piano (10)

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